心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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2013-07-27 23:13:06 

 

小学校の入学式の夜、

父に「どうだ、かわいい子はいたか?笑」と聞かれ

「○○ちゃんと○○ちゃんと○○ちゃんと…」

と初対面なのに10人くらいの名を挙げたらしい、

そんな僕の初恋は、小3の2学期で、

どベタに、転校生。

 

 

僕が東京湾の海沿いに住んでた頃、その子、Mさんは九州から越してきた。

ぶっとんで美人ってわけじゃなかったと思うけど、自分の好みの顔だった。というかMさんによって好みが作られた。くしゃっと笑うっていうあれ。

 

あと、方言。

覚えてるエピソードなんて片手分もないけど

「なわとび」のイントネーションはすごく耳に残っている。

 

やいやいからかうと下心がばれちゃう小学生男子。僕はとにかく優しくした気がする。初めての、好きな子を笑わせる喜び、だったのかもしれない。

他の男子で笑っているとシャクだったし、おかげで僕でよく笑ってくれていたと思う。

多分僕、学級委員長的なポジションだったしお世話しながら

「おれもばあちゃん九州なんだー」って共通点もあったかな。

 

もっと具体的な、体育館裏とか下駄箱にラブレターとか出てくると盛り上がるんだけど、いかんせん小3

写真すら残っているのは、学期末お楽しみ会のクラス写真1枚のみ。

僕は劇の出し物のサルの格好で、

Mさんはトナカイのカチューシャしてリコーダー吹いてるっていう。

その写真は何回も見返した。

初恋の、Mさんは、

ずっと小3のまま。

 

 

なんでかって僕が小4に上がる春に、

九州に引っ越しちゃったからだ。

Mさんと過ごしたのはたった半年

しかも小3のっていう微妙な半年

 

引っ越すとき、クラスのみんなからお別れの手紙をもらった。

先生は太ったおばちゃんで、楽しくて仲の良いクラスだった。

みんなは自分で紙と封筒用意してくれたんだけど、

Mさんは先生が配った学校のTheお手紙セットに書いていて、なんかそれが振られた気がして悲しくてあんまり内容は読まなかった。

「優しくしてくれてありがとう。九州でも頑張って」くらいだったかな

良くも悪くも小3だったと思う。

 

 

話は飛んで、僕もそれからそれなりに生きて21歳。この5月、就活で実家に帰ったときのこと。

ブログも始めていたし、過去を振り返ろうと中学ぶりくらいに小3のアルバムを開く、たった1枚の写真と、お手紙の入った。

1枚でも、残っていてよかったな、と思う。

他の人は残念ながら半分以上名前を忘れているものの、Mさんの名前はフルネームでしっかり覚えている。今どんな人になっているんだろうなー。もう二度とニドトにどと、会えないけどさ。

 

お手紙も、読み返す。

当時こっぱずかしくて切なくて読み飛ばした、初恋の人からのお手紙を、しっかり読む。

するとびっくり、手紙の右下に今まで気づかなかった言葉が書いてあるではないか、まるで濡らすと文字が浮かび上がるペンみたいに。

 

「行かないで、寂しいよ><」

 

実際にあった話だが、ホラーでもなんでもない。誤解しないでいただきたい。

それがちっさい文字で、しかも蛍光ペン。見づらっ!何年と見逃していたのだろうか。

これは、そうだねはい、両想い!ってことでしょなんて

なんとなく感じていた好意を、確信に変えることができたと思う。

男の恋は名前をつけて保存だなんて言うけれど、これは塗り替えられない。

蛍光ペンがぴっかり、光ってる。

 

 

人並みの甘酸っぱい初恋が実はこれで終わらない。

というか終わらせたくないから

続く。