2013-08-11 00:59:20
「評価は、数、でも、大きさ、でもないの?」
「うん、そんなの、かんたんすぎてつまんないもん!もっとがんばったやつをほめてあげなくちゃ!」
「褒めるってのは、要するにポイントが高いってこと?」
「うん、だってせみさんはずっとつちのなかにいたんだよ!そしてせっかくでてきたのにすぐしんじゃうんだよ!それならさいしょにがんばったやつがいちばんだよ!」
「最初が、一番、ねぇ。」
今年も、子どもには、蝉の抜け殻を集める仕事がある。
単純に生物個体数ピラミッドから言っても蝉は1億匹以上。
しかし、我々が目にする抜け殻はひと夏10個あるかないか。
子どもには、子どもの仕事があるんだなぁ、と、退職して初めて、気づく。
「頑張った蝉と頑張ってない蝉は、そんで、何が違うわけ?」
「がんばってないやつは、すぐみつかる!かべとかのひくいとこ。とか、はっぱのこっちがわとか。がんばったやつは、ちゃんとたかいところにいるんだよ。はっぱのむこうがわにかくれてみえなかったりするんだ!」
どうやら、どこで蝉が羽化するか、高く木に登ってたり、人の目につき難い場所を選んだりしたやつは、頑張ったやつで、価値があって、勝ちらしい。
子どもってのは、見てるなぁ。
「パパがね、てんしるちしるわれしる、ってよくいうんだ。パパのくちぐせなんだ!」
恐らく、
天知る、地知る、我知る。
自分の努力は自分とお天道様だけが知っている。だからズルするんじゃないよ。
俺も、よく部活の顧問の先生に言われたなぁ。
「だってじめんからでられなかったせみさんもいるんだよ。じめんからでてもここでもういいやってなっちゃうせみさんもいるしさ。でも、すっごくたかいところまでのぼってみせるせみさんもいるんだよ!みんなちがうんだよ!だからこのせみのぬけがらゲームはもりあがるんだ!」
どこで、世の中に、出るか、か。
まさに今の自分だな。
どこで出ようと世の中なんて一緒だろ?って思いたい。
けど酷なもんで10年で貯金になんぼ差が出るかって話。
子どもの純粋なまなざしだって、それを分かってんのか。かー逃げらんねぇ。
お金だけじゃないよ。長生きだけじゃないよ。命を、燃やせるかどうか。
考えリャ、20数年地面の中にいたわけか。
おかげ様でホントぬくぬくとやらせてもらったけど、世に出られなかった人もいるわけで、
おぉぉ、感謝しなくちゃなマジで。
「でもな、どこで羽化しようと、その後が大切なんだぞ。
場所が低かろうがなんだろうが、世に出ただけで、すごいことなんだぞ。
高い木から羽化したからって、それがなんだ!鳥に襲われたら誰だってどうしようもないじゃん!
羽化できたことの感謝を忘れずにだな、その後は一生懸命頑張ったもんがポイントが高いんだ!でなきゃだめなんだ。比べるんじゃない。やめてくれ!」
熱くなってしまった。
子どもは、もう、いなかった。
「みんなみんな、何があるから分からないから、ゲームは、盛り上がるんだよ。」
そっと声に出してみる。
そういや、昔、洗って干したうわぐつに蝉の抜け殻がついてたっけ。
あいつ、よく、踏まれなかったな。
あいつ、何点なんだろうな。
元気、してっかな?
生きてるわけねぇか、
ほれみろ。って笑った。