2014-01-13 01:06:50
180に引き続き、
手塚大先生の大人気医療ヒューマン漫画『ブラック・ジャック』文庫版全17巻
個人的お気に入りランキングベスト7
いよいよベスト3の発表です。
第3位
「密室の少年」
要素盛りだくさん。
オカルトであり、B・Jの執念であり、バカな大人への皮肉であり、ピノコの慰めであり。
読んだあとの残念さがすごい。
事故によって車椅子になってしまった少年がエスパーを使って憂さ晴らし。
家の周辺で運転手の心臓を止め事故を起こさせたりと。
大体そういうオカルトを信じていないB・Jが1対1で向かい合う。
それこそエスパーくらって血だらけになりながら、自分のツギハギを見せて、
「おれがお前ぐらいのときにゃアからだじゅうがバラバラだったんだ」っていうカッコよさには震えたね。
で、おれが手術してやるからリハビリがんばれよ的なハッピーエンドになるかと思いきや、
手塚大先生は少々のマゾなのかよ。なぜそんなことするのって感じ。
せっかく心を開いてくれた少年の、周りのバカ大人がバカすぎて、
手術はするなとぬかし、警官は撃つわ、バッタバタに追い出される。
SFはあまり好きではないのだけど、その裏の根性論とかのクサさが僕は好きみたい。
あと後味の悪い話は嫌いではないみたい。
第2位
「山手線の哲」
這いずり回るドロクサさやら、恩を忘れないギリニンジョウやら。
『ブラック・ジャック』のそうした情シリーズの中でこの作品がイチバン。おっちゃん2人の腐れ友情。
ルパンと銭形を彷彿させる。お前を逮捕するのは俺以外にはない、と。
箱師の命でもある指をチンピラに切り落とされてしまったベテランスリの哲。
長年追っかけてきた刑事さんも、やりきれなくて、B・Jに手術を依頼する。
この刑事もなかなか厄介。無料奉仕させられるB・Jは今回は見せ場は特に無し。
「指が治ったかってのは、昔みたいにスリができるくらいにかって。」って刑事さんがちゃんと、熱い。これぞ男の絆ですぞ。
激昂しちゃってる刑事さんの刑事手帳をすっと抜き取る哲の完全復活。
最後のせりふがものすごく味がある。
哲「だんな、今夜は偉大なBJ先生のために乾杯しやしょうや」
刑事「いずれ、ぶちこんでやるぞ!」
哲「ま、今夜はそれをいいっこなし」
そして、
第1位
「六等星」
調べたら秋田書店がやっている『あなたが選ぶ「ブラック・ジャック」ベスト40』っていう企画でもなんと2位に入ってて、
超名作であることと同時に、僕のセンスの普通さを確認できた。それくらいとってもいいお話だからぜひ。
六等星は目には見えないかもしれないけれど、それは遠くにあるからで、実際は一等星よりもでかいかもしれない。っていうメッセージを、
権力や欲に目をくらむことのない人間性と、確かな腕を持ちひっそりと仕事をこなす椎茸先生に重ねて。
この回B・Jはな~んにもしない。ただ椎茸先生の腕に驚いて後にすすめるだけである。
それでもこれほど人気なのはきっとピノコの最後のせりふのおかげだろう。
「先生、あのずーっとはなえてひといぼっちで光ってゆのが先生よのね。
ねーそいれあの先生の横れくっついてちっちゃーく光ってゆのはピノコなのよのね。」
ってもうダメ押しもダメ押し。
文庫版では一巻に収録されていて、
読み始めて早々、1位が決まってしまったものだ。
ちなみに秋田書店の例の企画。ベスト40以外も見られるので、
言ったら、全231ストーリー中、最も人気のない作品も分かる。
だからと言って当然おもしろくないわけではなく、なんなら僕のランキングでは神セブン候補だったお話もあった。
ランク付けなんてほんとはするべきじゃない。
のに、してしまうものですな。