心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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あんまりシンカンに協力できなかった時期、

今年の状況はどうよ?と友人に聞いて返ってきた答えが

「嵐が入ってきた!」

だった。

 

性も名もメンバーにいるから、

っていう理由、、二宮潤みたいな看板を引っ提げサークルの門を叩いた彼は、

「え、キミ今まで嵐って言われてきたでしょ?」

「いやぁ、ないですよ」

「そりゃそうだろ勘違いすんな殺すぞハゲ野郎」

という我々の理不尽な問答を屁ともしない屈強な老け顔のチビであった。

 

脱線が許されるならば、僕はわりと、コミュニティに必ずいる「絶対いじられる側の人間なのに、レスポンスを知らないあまり美味しい感じになってこなかった人」を相手にするのが、どちらかと言うと得意だ。

どちらかと言うと、ってのは形から入った謙遜で、

もう片方に何があるのかは分かってないけど。

 

中高でもお気に入りの友だちと組んで「そいつがオモシロい」風にいじってたら

その子の母親からいたく感謝されたりした。

大学で組んでた人はそれがオーバーランして今人生に迷ってるらしいってのは完全に余談。

 

車線変更カッチ、カッチ、

そんなアラシとキャッチボールをした。

我々は、球を排するより野の球を追いかけるほうが好きで、

しましょうとも、するぞともなく、ベテラン二遊間の意志疎通で久々に集った。

 

壁倒立は1つ上からの伝統で、

飲み会でキレ出すドッキリは僕らからの伝統で。 

我々が素敵な名前を送ってあげた学年に彼もなり、

なりに、近況報告の節々にマネジメント目線でのコメントが増えてきていたのが印象的だった。

相変わらず屈強で老け顔でチビだったけど。

 

聞けば今週から半年間京都の大学に通うらしい。

急だな。球だな。

確かにそんなやつだったなーと思い返す。

科目登録の時期になれば、

一人で近隣の大学の講義に寡黙登録。

お前いくつ大学通うんだよっていうのは、一転、真っ当な問答。

聞けば3週間イギリスの大学にも留学してたらしい。

言えよ!

いや、言わなくてもいいけど!

14時集合に少し遅れた僕への第一声が「How are you?」だったのも頷ける。

何も知らずアイムファインセンキューエンジュー?を繰り出してしまったことを後悔した。

知ってたらもっと英国紳士に寄せたのに。

 

「このままのうのうとトコロザワで終わるのは、ね、まぁ、ほら…」

って庶民の味方シャノアールでぽつぽつながら語る、そのシン(心、芯、針、進、真、身)は屈強だ。

語尾濁すあたり、察してもらおうっていう甘えもすごかった。

 

『一切の荷物を捨てて、新しい世界に飛び出す。』

 

別に彼は、僕にイギリスのオモシロ話をしたわけでもなく、またすぐ西へ向かう。

ものっそい足が軽い。足軽

ずるずると色々なモン曳き摺りながら、学生街を歩いてる僕とは真逆だ。

もしかしたら彼が恋人を作らないのもそういう理由から、と思ったけど

そこは、老け顔でチビだから、が正解である。

 

3月、お帰りの鍋をやろう、と予約する。

きっと忘れていて、しましょうとも、するぞともなく、集うと思うんだけど

そんときはもっとみんなを誘えればいいし、会いたい人はあちこちにいる。

 

 

新しい世界に飛び込んで半年、

まだまだできてないし、

まだまだできるし、

できてきたらまた新しい世界へ飛び込む。

最後に投げ込んだまっすぐはどこまでも伸びていき、

ちっちゃい彼の頭上を超えてった。

 

(ここで終わらせるのがかっこいいんだろうけど、

このあと彼はそのボールを探すこと10分全然見つけられず茂みの奥へ奥へ進んでいき、

僕が行ったらすぐに見つかった。

茂みには入ってすらいなかった。)