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心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

201

風が吹いた。

すっかりシーズンオフの風だ。

紅葉の枯葉の落葉の、ほこりっぽくて澄んでいて、銀杏と金木犀がほんのり味付けをしてくる。

一歩間違えば時々銀杏の独壇場にもなる。

そんな、自分の生まれた季節がやってくる。

 

出たくても出られなかった昨年のお祭から1年、

あっけないくらい「あ、はい、出ていいっすよ」でお祭に参加できた。

「改名ピン対決のMCもお願いしていいっすか」ってくらい簡単に出られた。

 

出るからには新しい神輿を作れっていうのはプロでやっておられる先輩のお言葉で。

過去の神輿のブラッシングばかり考えていた保守派は、

シャカイ人になってカイシャ員になって、益益保守派になっていることに気付かされる。

 

生憎畜生、本当に0→1の発明の才がないもので、

加えて、より多くのミスを犯したもん勝ちくらいにお互いミスを重ね合ったので散々々であった。

終わってすぐ隣の折り紙サークルに癒されに行くくらい凹んだ。

 

余談だが、折紙でできているとは思えないクオリティについて

「作り始めたら10時間くらいですけど、まぁその前に構想段階の時間がありましてそっちが大変ですね。

お笑いと同じですよ」

と言われて、何とも言えない気持ちになった。

 

まぁまぁ、とは言え、祭りは続く。

一生懸命に人を呼び、ご案内し、テープをチェンジし、差し入れのおやつで腹を満たす。

面白い人たちだけじゃなく、

面白い人たちを支えようとする人たちがいることは、この集団のとても有難いことである。

お手伝いかお邪魔か、廊下で声をかけるのも、楽しい。

「人ごみで歩き疲れたらぜひお立ち寄りを。」

僕はこの大学のこのお祭が好きなのです。

 

どっかんどっかんの対決ライブのMCを務められる幸せはこれ以上ないもので。

裏7時間ぶっ通し企画として、

一歩も席を動かず飲み食いもせずトイレも行かず7時間見続けた同期のチビが、

副将戦を見ながら涙を流したらしいが(いわく、あれなんだこれ、えっ、えっ、おれ泣いてる!らしい)

気持ちは、分かる。

面白いことをする人たちは最高かよと、

面白いことをする人を支える側の僕は改めて思う。

 

7時間を終え、部室で寝っ転がりながらパワプロをやって、

くっさいきったない負の形容詞のこの部屋をぐるり見回せばさすがにコミアゲルものがある。

「お前の分の色紙もあるよ」と今更ながら受け取る後輩たちからの冥途の土産も追い打ちをかける。

 

翌朝。

汗くさく、煙草くさい、もう着ることはないTシャツを洗濯する。

いっそ思い出すこともないようにダウニーでも使ってやろうかしらなんて思う。

もう、神輿を作ることも、神輿を担ぐこともない。

飲み会で話すことも、飲み会で話す異様な性癖を探すこともない。

ベランダからはそう、すっかりシーズンオフの風がする。

 

嗅覚はきっと今後もよろしく表れて、

お祭りのことや、面白い人たちのことを思い出させるんだろうから、

じゃあもうそれでいいです、

素敵な誕生日プレゼントをどうもありがとう。

 

そんな、自分の生まれた季節がやってくる。