心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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下手に人生を生きてないくせ、

偉人の生き方に流されて、

「人生は、余生だ。」って達観したふり、身の入らない2度目の春。

逃げるように、帰省した。

黄金週間だなんておよしになって、錦はまだまだ飾れない。

 

いよいよ年に10日しか、育ったおうちにはいられないのさ。

親父の病は進行し、母親の飯は美味しくなる。

テレビの前に寝っ転がる、変わらない2人のうしろ姿に、

なんだか目を背け、自分の部屋に上がる。

 

書斎から『アイムホーム』の原作漫画を取ってくる。

へーオヤジさん、先見の明があるのね。

読み始めるも、やっぱりそばに、と下に降りる。

たいして面白くないバラエティで笑い声が上がり、

田舎からこの娯楽はなくならないと思う。

ローカル番組には同世代の、あるんだか才能(タレント)。

今じゃ中学生も出ていて、少し妬く。

 

高校の友人に会う。

流行りの「○○してみた」の最も楽しいやつは「誘って」だと思う。

笑い話をアテにして。笑い話を当てにして。

 

慣れ親しんだ「まち」からあえて歩いて帰る。

校長室みたい、好きだった人の歴代の顔が浮かんでくる。

待ち合わせ場所のダイエーはビルごとなくなった。

すれ違う若者の大半は、自分より若くなった。

 

出会えてよかったひとがいて、帰りたいまちがある。

 

「さんまさんだね。」

お久しぶりの友人と飲んで、御礼メールで言われて、嬉しい。

そういや小学校高学年のころ、低学年から「さんまさん」って呼ばれてた。

気付いたら、干支が一回りしてる。

 

今の仕事を続けても、どうにもこの「まち」には帰れない。

ちょうどそんな時、さんまさんの「転職」の番組。

ちゃんとテレビを見るの久しぶりで、

さすがさんまさん、超笑った。

隣でオヤジも母親も。

やっぱすげぇ。

オモシロ。

 

近頃じゃオンオフが顔に出て、お土産を持たずに営業先に行っている。

「エイギョウマンはさんまさんではなく高田社長になりなさい。」と昨年ぽろりとご指導いただいたことがある。けど、さんまさんになりたいという想いは罪でしょうか。

 

あと、OB野球に参加させていただいたことが何より幸いだった。

塁審の立ち位置も分からなくなるくらい久しぶりで、

ボール球に手を出し、真ん中を見逃すっていう

保護者がイジリ易いあるあるをかましてしまったけど

プロも使うこの球場の芝生や風が心地よかった。

オールドチームがむちゃくちゃ戦力揃ってて2勝したし、

オールドチームに対して「へいへい」が言えるの、

これ実はかなりいい校風ではなかろうか。

 

By the Wayところで

母親の知り合いが、人手を探しているらしい、県庁のブランド課の。

 

「人生は、余生だ。」なんて恰好をつけている場合ではなく、

舵切りをしていかないと。

今の会社の知財も全部もらわないと損で

カイシャに遊ばれるのではなく、カイシャを遊ぶのだ。

 

「野球」と「お笑い」が好きで、そうやって僕ができていて

「いつか地元のテレビに出たい」という夢を少年時代に描いていた。

 

出会えてよかったひとがいて、帰りたいまちがある。

「ファー」という高笑いが、どこかで聞こえた気がした。