心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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ここ数日の心の動きは何かに残しておこう、からっきし役に立てないということも含め。

 

育った街が揺れに揺れ、「余震400回だって、もう一生分揺れたよ」って親父からの電話の3分後にテレビに字幕、緊急地震速報。親父、次の人生分も揺れてる。

水を買う文化がないくらい、水道ひねればミネラルウォーターが出る街なんだ。水が合わないを理由に田舎へ帰った人を何人も知っている。死活問題。生きる干からびる問題。給水の情報は流れてきても、水はまだ流れてこない。

幸いなことに、家族で家にいるらしい。建って10年くらいの準新築の部屋中の壁に、イカヅチみたいな亀裂。送られてきた僕の部屋の写真はマンガ棚がぶっ倒れてて、F先生と水木先生と手塚先生が夢のコラボごっちゃごちゃ。帰ったら交通整理してあげないと。

ショッキングだったのは食器棚がシンクの上にぶっ倒れてて、バッドデザイン賞使いづらいというか使い物にならない。お皿の生存確認はひと段落したらしい。靴って大事だ。家の中でもあっちゃこっちゃガラス片。

Facebookの情報を僕がチェックし実家にリポートする日々。テレビでは高校の同級生が僕ら視聴者にリポートする日々。ものすごい胸が打たれる。当たり前なんだけど人の役に立っている人は、寝てない自慢なんてしない。医師の友人の使命感もまた。

それに引き換え「情報格差がすごいと思います。」って友人が呟いていて、まがりにも情報を届ける仕事をしている端くれの端くれとして、ものすごく無力で悔しい。そうだ。その通りだ。おじいちゃん、おばあちゃんの誰が、市の公式アカウントをフォローして@をつけてリプライをしたり【拡散希望】をリツイートしたりするだろうか、いや〜ない。超くやしい。メディアのあり方は今回もまた、給油横入りやプロペラの騒音など疑問視され、むらじゅんさんがまっとうなことを呟いている。

必要なものリストにある「帽子」は、この中で仲間はずれはどれだゲームをしたら真っ先に選んでいたと思うんだけど、避難所の生活を想像できればすごく必要だと分かる。ついこないだ入院し、お風呂に9日入れず、若い女性のカンゴシさんに、べたべたで香ばしくなった自分の頭皮を近づけさせるのが、右乳首横に管ぶっ刺さってることより嫌だったのだから。同時に僕らはよくわかってなかったけど女性のことをもう少し知る必要があるなと思った。まだ僕には姉貴がいるんだけど、本当に男兄弟しかいない友人は、女性はおならしないってけっこう本気で思っていたりするし。そういう用品がなんなのか、キョリカンはとてもムズカシイんだけど知っておかないと。

あと避難所では、声を出せる場所を作ってあげるのも大事。ちびっこは泣いてもいい。叫んでもいい。感情をふさぎこませず、一緒に遊んであげようと思う。幼稚園で習う歌を、もう一度復習しよう。ずいぶん昔、親父に「ゲイニンになりたい」って言ってた一時期、いつも彼からの答えは「いいよ」でも「だめだ」でもなく「パッチ・アダムスになれ」だった。平和のためにクリエイティブになる。例えば、死の床でアメイジング・グレイスを歌う。また地震が来たら、ふとっちょのあいつのせいにしちゃっておいやめろふとっちょ、いや俺じゃないよあははと笑おう。

 

それで言うと我らが熊本のヒーローはまさにそうで。くまモンが何も呟いていないことを受けて熊本県ブランド推進課の方のお言葉、参照ネットニュースはもう何も言えないくらい感動した。

「飲まず食わずという人がいて、ほかに注力するところがあります。まだ、くまモンが動くのは時期尚早だと思っています。ただ、くまモンは県の幸せの象徴。避難所の訪問など、必ず役割はあると考えています」

 

Facebookはやや感情的だから、ちょっとお腹いっぱい。お写真と長文と、持っておくべきもの、やっておくべきこと、気づかい、不安、デマ全て。一方でTwitterの生の温度感はしっかり伝わってきて、「民間の物資が届いたのか業者が通常運転にまで回復したのか、飲み物が複数本入手できる状態」なんていう何気ない言葉に遠方はとっても勇気づけられる。ありがとうさねちゃん。

もちろん僕にもできることはある。トマトを買う。デコポンを買う。銀座熊本館のいきなりの行列はムネアツで、心のいきなり団子があったまる。渋谷の募金も政治家と見極めて、想いを託したい。そんで周りの人にめちゃくちゃ熊本を売り込もうと思う。

「Prey for Kumamoto」とかシャクだ勘弁虫唾ダッシュ。フォローしているグラビアアイドルがそう言っていて、言うだけ言っていて、わりとはっきりと腹が立った。ヤになってフォローは外した。恵比寿かなんかで馬刺し食ってろ。いや食べてくださいとびきり美味しいので。

歯学部の友人は歯を磨くことの大事さを分かりやすい言葉で教えてくれたし、整体の友人は無料で出張マッサージを施している。それぞれがそれぞれでできることはあって、でもそれぞれがそれぞれで動くと混乱するから、だから情報産業って絶対必要なはず。ACのあの裏で何十人もの大人が、何億というお金が動いている。ジシュクとかフキンシンとかは置いて、見たいもの聞きたいものを届けてあげてほしい。

ここ数日の心の動きは何かに残しておこう、分かりやすく何かのきっかけになる気がしている。