心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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やれ、愛だの言葉だの細身の馬面が好き勝手に書き喚いているけども、一番好きな広告はけっこうビジュアルありきだったりする。

「あの頃の青を探して。」

世の中で僕が1番に好きなキャッチコピーです。こちらです。

「あの頃の青を探して」の画像検索結果

何と言うかたった10文字、このちょっと添える感じ。「前、開いてますよ」みたいなさりげなく添える感じにハッとする。ばーんと視界に飛び込んでくる青に圧倒された後のシメが利いていて好きなのだ。もちろん、ここにも原体験がある。

 

Twitterを始めて丸7年のお知らせが届いた。知らせてくれた青い鳥の存在を始めに知らせてくれたのは幼馴染のてっちゃんで、教えてもらって大学1年の夏からつぶやき始めた。その時僕は、所属するお笑いサークルの夏の伝統、全国の病院を回る巡業中であった。と言っても普通の漫才なんかじゃウケないから(ツッコミではたいたりすると「なんでたたくのよ!あの子悪くないでしょ!」とトラウマを持ったおばあちゃん患者さんが発狂しちゃったり)、甚平着てピコピコハンマーを持って分かりやすいネタをやる。ネタをやっては観光して、美味いもん食って、ネタをやっての繰り返し。6,7人で、車1台で、当時は九州を1周していた。

たしか最初のつぶやきは

「山の斜面は転がるためにあるなう」

みたいなことを呟いた気がする。

 

水辺を見れば服着たまま飛び込む。芝生があれば転がる。フリとオチの何たるかと、ポコチンの面白さを教えてもらう旅である。それまで野球しかやってなかった田舎の高校生が、東京の大学生になり、まだ入会して3ヶ月も経たないようなコミュニティの人たちと2週間寝食を共にする、軽い絶望とわくわく。

親以外の運転がそもそも初めて。皆さんそういうのありましたよね?あの心細さ。これ、この人がハンドルをえいってやったら僕らすぐ死ぬなっていう変な興味、好奇心。

道中は、奥田民生を聞く。「井上陽水奥田民生だぜ?PUFFYが良くないわけがないんだよ、なぁ!」って先輩がイッチョ前に語ってる。それまで(恥ずかしながら田舎の高校生はみんなそう)EXILEを聞きかじる程度だった僕には衝撃的なかっこよさ。温泉に行く。コインランドリーを使う。これまでじゃ想像できないほどの自由な旅、暑い熱い九州の夏。先述の先輩は「これオシャレじゃない?」ってなぜだか後半1週間、体拭いたバスタオルを日中、首に巻いて行動し始めたので真夏、想像を絶する異臭だったけど、今じゃいい思い出。巡業から戻ってすぐ僕は、その先輩を敬うのをやめて呼び捨てにすることに決めた。多少のおひねりもいただき、ご厚意に甘えて宿泊までさせていただく夏の夜の病院のヒンヤリ。

1日1日が衝撃的だったあの夏の不安と緊張と、なによりそれ以上の自由。

「あの頃の青を探して。」はいつだってあの夏の、九州の田舎道を思い出させてくれる。

 

そういやSMAPの「freebird」のPVがとても好きなんだけど、それも相通ずるものがあると思っていて。最初にしんごちゃんとつよぽんの雑談から始まる。

香取「自由になりたい。自由になる怖さもあるけど、正直そんなことよりも自由になりてぇ」

草薙「それ以上のことないのかもしれないな、そしたら。なんなんだろね。」

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今年、1人でドイツ行ったりしてみたけど、多分僕はずっと「あの頃の青を探して」いる。

 

さて、思い出に浸っていても仕方ない。湿った夏は静かに通りすぎる。

最近、あらためてこれすごいコピーだなってのがあって25歳の夏に書き記しておくことにする。

 

首都高速道路

「追い越したって、みんなゴールは、違うんだから。」

 

よく、いいコピーの条件で「発見」があるかどうかだと言われている。

たしかにそうだよね、って気づかせてくれるこのコピーは、ただの安全推進のコピーとは思えない、もっと大きな人間観がある。やれ、デジタルだSNSだと言われる昨今、人間中心設計がとても求められる。人間、腹が減ったらむしゃくしゃするし、ありがとうって言われたらそれだけでちょっと生きてける。そんな人間の本質に、ただの高速道路の広告が迫ろうとしてる。

地元に帰ったときに同級生の結婚や離婚を聞いたり。同期が退職して別々の道に進んだり。僕自身グループ会社に出向したり。ネンシュウとかキャリアとか、実家に帰れば「アンタカノジョトカイナイノ?」っていう、全部カタカナで書きたくなるほど入ってこない母さんの嘆きとか。「みんな違って、みんないい」の無責任さもいいけど「追い越したって、みんなゴールは、違うんだから。」の方が入ってくる気がする。

「サーネ」なんて答えて、白のパーンダーをどれでも全部並べーてー♪と歌ってる。

 

「追い越したって、みんなゴールは、違うんだから。」ってつぶやいてみて、じゃ自分のゴールはどこなんだろうってのに今、とっても興味を持っている。わくわくしてる。

そうそう、「自由だ。変えよう。」って、ソニーが不振のPC事業を事業譲渡するとき、譲渡された側のVAIOが独立したときの広告そのボディコピーに胸が熱くなって、あれすげぇかっこいいからぜひ読んでみてちょ。

「バイオ 自由だ」の画像検索結果

どうやら僕は年々広告を好きになっていってるみたいで、引き続きどうぞよろしく。

 

最後、ちょうど残り3ヶ月で26になる自分に向けて、この夏を締めくくりたい。

メディアプランナー指南役さんが、それこそツイッターでよく仰っている「26歳覚醒説」を引用させていただく。

 

"人間は26歳の時になりたいと思った人間に最終的になれるという。26というと、大卒なら就職して4年目。そこで初めて人生でやりたいことが見えるらしい。だから就活で「やりたいことが分からない」と焦る必要はない。とりあえずどっかへ入って3年我慢。そこから。"