心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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一度も投票したことないんだけどAKB総選挙は10年目を迎えた。起業から10年続く企業の割合って6%とかそこらへんだったことを考えるとすげぇなぁと思う日曜日。

正確な史実は履修してないんだけど、09年あたりからAKB48が来そうな予感はしていた。世間の風向きが変わったような、「会いに行けるアイドル」を受け入れられる空気感が整ってきたような。もっとも当時の僕は熊本の高校生、何がわかるのかという話なんだけど、実際に2010年の『ポニーテールとシュシュ』で一気に跳ねたような気がする。

僕らのキャンパスは周囲をトコロザワの山に囲まれ、あまりに飯食う場所がないからって学食に松屋がくっついていて、恐らくほんの数歳ほかのパートさんより若いからってドヤ顔で仕切ってる新井さんって若作りしたおばちゃんがカウンターしてたその松屋の2階の溜まり場で、サークルの先輩マサルさんが僕らに1人2、3枚ずつCDを配っていた。それがそう、ポニシュシュだった。関西人のトモヒロ君が「ポニーテールとシコシコ」なんて笑ってたっけ。僕にとってのマサルさんは初めて生で見るオタクで、それはそれは衝撃。同じCDを何枚も買うのなんて狂気の沙汰。「優子はねぇ〜」って大島優子を呼び捨てにするのもイカレポンチの極み。すごいよマサルさん。本名ジュンイチって名前でマサルじゃないって言う、名字が花田だからって名付けられたらしい本当すごいよマサルさん

で、オタクにドン引きしていたものの対象である偶像(アイドル)にハマるのに時間はかからなかった。PCを手にしてyoutubeで水着のMV見たり、友達が少なめだからiPodを聞くしかなかったり。それしか知らないからそれしか聞かないいわゆる在宅。

思うに、2010-2014年の僕らのガクセイ時代はそのまんまアイドル戦国時代だったんじゃないでしょうか。史実はよく分からないけど。

 

2011年あたりからももクロが一気にがーっと。サークルでも台風のように巻き込みながら流行ってた。のちの副代表、のちの芸人フェー篠原君がめちゃくちゃハマって、のちの車載機器メーカーの営業近藤君がハマって僕も聞くようになった。「まずお前は走れ!のこの動画から見ろ」と篠原君のお決まりの上からくる感じは少々シャクだったけど見終わった後の教えてくれてありがとう感。ヒャダイン天才youtube最高。

ももかさん好きだったんですよ。サンタさんさんさんの3:15の「オーサンタクロォス」のワンフレーズだけで、自分の聴覚に感謝した。歌がうまい女の子は尊い。歌い続けてほしい。

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2012年ごろからいよいよ群雄割拠になりだした気がする。「AKBが来て、ももクロが来て、次に来るのはBiSだ」ってたまたま読んだ音楽ライターの記事を吹聴してまわる。同級生ゆっふぃーがBiSで頑張ってるって知ってチケット手売りしてもらったこともある。ゆふぃすとの皆さんに自慢したい大学の良い思い出。「nerve」は今聞いてもやっぱいい。3.11の度に「太陽のじゅもん」を聞き返す。

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あまちゃんからベビレが出てきたりスパガぱすぽ☆もアイドリングも。ハロプロを追いかけ切れてなかったのが悔やまれるけど、めちゃイケ「AKB以外の大運動会」のももちはかっこよかったな。というか嗣永プロは本当ずっとカッコイイ。

思えばこの辺からNegiccoも全国区になっていった気がする。学生時代澄まし顔で動画を漁るだけだった僕も3年前のやついフェスでNegiccoに出会ってどハマりする。ハマるべくして、満を持してのめり込むようになって今に至る。このあたりに書いている。

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で、いっちょ前にアイドルオタをやってみて気づいたんだけど、本気で思えば思うほどやるせない気持ちになることがある。自分視点で言うと、アイドルと付き合えることなんてないのになんだこの愛は一体ってどこへ向かうのだろうって。アイドル視点で言うと、恋しちゃいけない。お菓子食べすぎちゃいけない。いつも見られている。キラキラしてなければならない。制約、十字架、幻想の押し付け、抑圧された存在。なめたこと言って申し訳ないんだけど、土日はいいでしょってヒゲ伸ばしがちな僕には想像もできないほどの大変さがあるはずだ。理想の1日を聞かれて7時間睡眠の後11時間ゴロゴロと答えた平手さんの気苦労に思いを馳せる。

でもってこの、ライムスター宇多丸さんの文字起こしを読むたびに、ファンとして応援すればするほどアイドルの皆さんが苦しくなっていく構造に絶望する。

ぜひご一読、そして一曲お聞きください。

それは悲しいくらいのピンク色だった : ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル 2007年5月5日 宇多丸のアイドル論「岡田有希子・しょこたん・鈴木亜美」

「それもきっと幸せ」

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前置きが大変長くなりました。

それでも僕らはアイドルが好きで、感謝してて、応援していて、幸せを願うのです。

「アイドルを好きになってよかった3つのこと」を書いておきます。

 

①いいとこを探すようになる。
ご存知のとおり、可愛いだけじゃ生き残れないのが今のアイドル界だ。橋本環奈ちゃんみたいな1000年級はいるんだけど、顔とか声とか仕草とかファンの対応とか世界の見え方とかオフの過ごし方とかアイドル一人一人ぜーんぶ違う。当たり前なんだけど。
だからハマるポイントも様々で。この人はこれがいいってみんなそれぞれの武器を色とりどりの彩り、百花繚乱咲かせまくってる。分かりやすくスタイルの良さでグラビアで売れる人もいるだろう。根本凪さんとか浅川梨奈さんが表紙を飾り、神谷えりなさんはちょっぴりエッチなお色気ユーチューバーだ。儲かるのかな?うーむ。UUUM(清咲乃さんなど所属)。

愛するNegiccoで言うと僕の周りの知らないヤツらはまずかえぽかわいい!から入って、歌ちゃんと聞いてって言うとなおちゃん上手いねになる。そこで教えてあげるのは、実はぽんちゃの存在ってめちゃくちゃ貴重でMCもできるしいつも楽しそうだし、笑顔だし、お洒落だし、センス超いいし、やたらとカレーが好きだし、3人のバランスをうまく支えてるんだよ!ってこと。魅力は1つじゃない。いいとこを探すようになる。

曲によってもそう。この人じゃなきゃいけない箇所が度々ある。それはまるで『風立ちぬ』の声優がまさか庵野さんだったみたいに。あ、このワンフレーズだけで鼻抜ける感じとか息づかいとかこの人じゃなきゃだめだってなる。サンタさんのももかの3:15とか。客席から見るダンスのキレとか手足の長さとかバラエティの受け答えとか。

どんどん見つけよう。ライブに行こう。Twitterを見守ろう。この時代でもブログを更新してくれる子には最大限の敬意を。たまにあるストーリーズのグチには目を瞑ってさ。ただの面食いから、かわいいだけじゃない魅力を見つける楽しみを教えてもらった。

 

②好きな人がいる。恋する喜びがある。
例えば学生時代に好きな人がいた人なら分かると思う。数百人いる集合体の中にその子がいるだけでその日一日が幸せになる。目が合ったら天国、話せたら宇宙みたいにふわふわしてく感じ。好きな人の名前見ただけでどきどきしたり、その子の両親にまで感謝したり。心の推しがいることの安定感はすごいものがあって、生きてるだけで嬉しい。尊いって言葉はすごく刺さる。
ガチ恋勢にはならないようになんて自制したりもするけれど、でもさ、好きなものは好きじゃんってこれはもうちょっとした哲学の世界。
なんとなく「愛する」より「愛でる」に近い気がする。見返りをなんらか期待するけどその前に愛情を注ぐ、大事にする、その行為への喜び。「世話したくなる存在が、人を優しくする」ような。かの大島優子は票数を愛だと言った。アイドルオタクになってその意味が分かる気がする。

最近思うのは、「元気があれば何でもできる」は少し嘘で、”興味”があれば何でもできる気がしている。すべての”できない”はできないんじゃなくて”興味がない”だけのような気がしてる。「見たい、が世界を変えていく。」とは日テレの企業コピー。

会いたい、声が聴きたい、愛でたい想いがまた幸せにしてくれる。


③永遠じゃないことを知る。
太田光のエッセイにこんな昔の話がある。小さいころデパートの屋上、同い年ぐらいのちびっ子といつの間にか仲良くなって遊ぶ。そのうち「じゃ、いくよ!」ってお母さんが迎えに来て、またね!って言って別れるけど、子ども心にもう2度と会えないことも知っている。「俺、こないだそいつと飲んだんけどね」「今でも連絡取ってんのかよ!そうじゃねぇだろ!」なんてオチがあるんだけど。

アイドルを語る上で、当然その刹那性は欠かせない。いやー、〇〇年取ったな〜という時我々もまた歳を重ねている。深淵を覗く時、深淵もまたこちらを見ている。

特にここ最近のアイドルの解散ラッシュ。GEM、チキパ、アイドルネッサンス、昨年の清竜人25などを目の当たりにするたび感じる。アイドルがその短い寿命の中でアイドルでいてくれること、続けてくれていることに静かな感謝を。だからこそ僕らは今、できる限りの応援をする。刹那性はアイドルファンが夢中になる大きな要素の1つ。今だけ。ここだけ。の奇跡のようなシーンに立ち会う喜び。だからこそストーリーができる。伝説ができる。心が震える。

あ、どなたか7月、Negicco15周年ライブ見に新潟まで行きません?

 

ここで、ファンとアイドルの関係を歌った極上のバラードを1曲。

作詞作曲がなんとまぁ「それもきっとしあわせ」の堀込さんなのです。

Negicco「愛は光」

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講談社が立ち上げた、新しいアイドル像を評価するコンテスト「ミスiD」ってのがあって、そのキャッチフレーズがとても良い。

「歌えなくても、踊れなくても、誰かの明日を元気にできれば、 それはもう誰かのアイドル。」

 

会社の同期にめちゃくちゃ美人がいて仕事も一生懸命で高嶺の花である彼女を見るたびに僕はこの言葉を思い出してる。偶然にも彼女もアイドルが好きでNegiccoのアルバム貸したら、お返しに欅坂のCDを貸してくれて、うわ貸し借りじゃん、なつかしいなーって嬉しくなってたら、1回詰めたんでしょうかね。

いや、袋変えなさいよ!って笑った。

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