心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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いつだったか数年前、僕の将来を気にかけまくってくれてた直属の上司と準備室で2人、作業していた時のこと。急にこんなことを聞かれた。「君はさ、将来こうなりたいとかぼんやりとでもあるの?」。当時僕が3年目とか、うーんである。第一声「うーん」第二声「うーん」第三声でようやく「なくはないですけどねぇ」。で、自分が上に立って分かるんだけど、後輩が何を返そうが自分がこれが言いたいって時があって、多分その日の上司もそうだった。僕の回答お構いなしに重ねる「俺さ、父親になりたいんだよね。」I'm your Father. He wants to be a Father. 急に言われましても目がテン鳩にマメ。どうやら、なりたい自分を考えに考えて整理した結果たどり着いたのだそう。「君もまぁ、何でもいいから持っておいた方がいいよ」と言われてその場は終わったんだけど、そのちょうど1年後ぐらいにその上司はご結婚され、その2年後ぐらいにお子さんがお生まれになった。きっと僕に投げかけたその頃に、生涯をかけて大事にしたい人が現れたんだなと踏んでいる。そいや、あのあたりから香水の匂い変わったしなぁ。

26歳覚醒説というのを信じている。ちゃんと調べたら正しくは“26歳原点説”っぽい。人は26歳の頃になりたいと思った自分に、生涯をかけて近づいていくという説。上方漫才の大御所上岡龍太郎さんが言っていたそうで、他にも各所で聞いたことがある。そういや前述の上司もたしか26歳くらいだったのではと振り返る。26歳覚醒説。皆さんいかがでしょうか。過ぎちゃった方、どうです?叶ってますか?今も旅の途中ですか?まだの方、どうです?26歳の自分、何が起こりそうですか?目星や検討ついてますか?

 

僕が説を信じる理由。自分の話で恐縮だけど、そしてこれはちょっぴり自慢なんだけど、26歳の時に出会って付き合ってくれた女の子と過ごした日々が自分の人生の支えになっているのです。自分のブログで自分の話するのに恐縮してるのも変な話なんだけど。

たまたまのご縁、友達の結婚式で出会った女の子が後日連絡をくれて、初めてのご飯から「あ、これ好きになっちゃうな」ってそれはそれは引き合うように惹かれ合うように大好きになって、その人「あなたのこの才能がとても素敵!」ってまっすぐに言ってくれる女の子で、別れる時には「あなたのここが嫌いになった」ってちゃんと言ってくれる人だった。その子からの愛に甘えまくっちゃったな〜「反省してください」って別れ文句まで今思えば愛だなって思う。京都の人だったんだけど「かけちゃん、そういうとこほんますごいなぁ」って言ってくれた。わからない、もしかしたら京都流のお上品な嫌味で「え、そのぐらいの能力なんて誰でも持っとるでおま。なんもたいしたことあらへんけど、ようそれで得意な顔してられまんな、たいそう幸せな人どすなぁ」だったのかもしれないけど笑

その言葉だけで力をもらって仕事がうまくいかないときも無力さに苛まれる夜も乗り越えられた。思うんだよ、愛され力なんてくそくらえ。必要なのは愛され力なんかじゃない。愛する力だよ。向き合って見つめて心の奥に触れてくれたとき、なくてはならない人になるのよ。これ何かに出題したいぐらいの良問。

思い出し惚気、2人でたまにタートル・トークごっこをして遊んだ。彼女が悩みや質問をぶつける。カメのクラッシュになりすました僕が即興で返す。愛とユーモア。ちょっとうまいことを言う。世界の名言を引用する。笑ってくれる。「ほんますごいなぁ」って言ってくれる。26歳の頃、たくさん聞くことができた「ほんますごいなぁ」が、今の僕を支えてる。

 

ここでNegiccoの新曲「I LOVE YOUR LOVE」

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働くということが自分の担当している範囲での世の中の幸せ増やしであるとして、成人してからの生活もそういう要素があるのではないでしょうか。例のごとく前置きが長くなりましたが、今回は余興とかユーモアとか自分ができる範囲の人を幸せにするために生きてるんじゃないかなってお話です。


すさまじいご祝儀貧乏、毎回おろす新ネタの余興。頼まれると嬉しいから喜んで余興を引き受ける。大半が僕のことを知らない状況でも、聞いてないようで聞いているから普通にすべったりする。頼んでくれた友人の手前、失敗は許されない。

1つ苦い思い出があって、生まれて初めて参加した親友の式の乾杯の挨拶、準備不足からダダダダダダすべりしてしまって、助けてドドドドドドドドドッドーラえもんって星野源ドラえもんの新OP映像しこたま素晴らしいからみんな見て。親友の顔にどろかけ(ポケモン金銀キキョウシティ)。場を凍らせてしまってこごえるかぜ(ポケモン金銀チョウジタウン)。あの時の自分を思い出してばくれつパンチ(ポケモン金銀タンバシティ)。結婚式を開く予算感とかあとで知って、ぐだぐだやっちゃった事の重大さに気づく。

今年は数えたら4回の参列。来年はもっと増えそうな気配。結婚式のあの場がすごい好きで、知らない人が知ってる人になって大事な人になっていった経緯を振り返った後、そいつが大事な人を連れてきてまた知り合いになっていくっていう両家のみんなの愛の結晶、決勝戦

読んで字のごとくあまりの(余)エンターテイメント(興)。日頃持て“余”しているのか自分の“興”味、関心を最大限に発揮する。このブログもそうだけど、言葉遊びといいこと言いたがりでできている自分の得意フィールドを持ち込んで、好き勝手やらせてもらってる。今までやった余興をまとめておく。

 

・2018年10月バレーボールサークル友人の結婚式

「はー結婚式いいなぁ、わたしもしたいけど出会いないなぁ。そうだマッチングアプリってのがあるらしいわ」って女装してマッチングアプリ風に出てくるサークルメイトをいじってくやつ。新大阪に向かう新幹線で乗り物酔いしながら必死こいて写真集めてPPTスライド20枚ぐらい作って質の低い陣内智則みたいなことをやった。女装の質がひどかったし身内ネタだったけどあったかく受け入れてもらって、調子乗って平井堅のモノマネも披露する。スライド20枚よりウケる。平井堅の強さを知る。

 

・2019年4月バレーボールサークル後輩の結婚式

新郎である後輩君から事前に、こういうことをやろうと思ってますと送られた「結婚式で盛り上がる余興まとめ」のURL。見ると、新郎が目隠しをして奥さん含めた4人の女性と握手、その中から奥さんを当てるというもの。その司会をやってもらえませんか?というオーダー。まとめサイト曰く、4人の女性の中に新郎の母親も入れることで、育ててくれてありがとうお母さんって握手する感動シーンが作れますよとか、ごつごつの男性も入れておけば、明らかにこれは女性の手じゃないだろと笑いも起きるのでおススメですよとかって裏切り方まで丁寧に書いてくれてて正直冷めちゃうへそ曲がり。急遽新婦に電話つないでもらって作戦会議。「あなたの旦那さんから頼まれた余興、ヤラセの司会の台本を渡されたんだけどそれで本当にいいのかな?台本付きのヤラセをやろうとしている旦那さんでいいんですか?考えてもみてください。2人のこれから先の人生に台本があるんですか?ないでしょ?台本なんかなくても大丈夫なところ見たいでしょ!」って勝手なこと言わせてもらって、当日は新郎へのドッキリを決行。せっかくなら4人だけじゃなく各テーブルを回らせてその卓を代表する人を当てるゲームに切り替えた。特に難しいのは新婦側の友人卓、初対面の誰やねん状態。事前に情報を入れておいて司会の僕がヒントを出しながら目隠しした新郎が式場内をうろうろする光景はバカバカしくて面白かったんじゃないかな。結果そこそこ盛り上がったので、調子乗ってまたしても平井堅のモノマネを披露する。新婦の友人の特徴を必死に覚えた司会よりウケる。平井堅最強説。

 

・2019年5月高校野球部友人の結婚式

高校時代、僕と一緒にNON STYLEを完コピして全校生徒の前で漫才付き合ってくれた友人のあだ名「金玉」。顔面の肌感が金玉に似てるからって最低すぎる由来にもめげないおおらかな彼なら許してくれるだろうと、乾杯の挨拶の中に「玉」が付く慣用句を入れるスピーチをやる。「高校時代、彼のあだ名は金玉でした」から始まり「たまたま出会って転がるようにあっという間。たまに調子乗るところが玉に瑕。奥さんもきっとたまったもんじゃないでしょう。そんな彼が結婚すると言ったとき私はたまげました。またまた〜と思いました。逆玉の輿か?と思いました。多摩川でデートしたり、たまごかけごはんを食べたりしたことでしょう。鉄砲玉みたいな勢いの彼も、これから先はしっかり努力していかなければいけません、まさに玉磨かざれば光なし。喧嘩することもあると思うんです。大変なこともあるでしょう。でもね、僕は2人は大丈夫だと思うんです。きっとこの2人なら、丸く収まるんじゃないかなと思います、玉だけに。」こういうの考えててすごい楽しかったし、商社マンである彼の友人らのやいのやいのにもとても助けられた。ここは、平井堅は止めておいた。

 

・2019年9月バレーボールサークル友人の結婚式

前述の通り、同じサークル員が結婚するってのに毎回僕が1人で余興やってる。さすがに今回はどうか誰か一緒にやろうぜって呼びかけても全くツレないツレたち。たらい回しにされているこの状況を使おうと、台本を当日朝に書いて本番2時間前ぐらいに集合してもらって音声撮り。これまたpptに音声埋め込んで今度は30枚ぐらいのスライドに。マイクの前で泣きながら話し始める。「めでたい席なのに泣いている理由は誰も余興に協力してくれなかったからです」から始まって、俺と漫才しないか?というお誘いが5人に断られていった話をする。「ケッ」ってあしらわれたり「おめぇ」って罵られたり「で?」ってシカトされたり、「コン」って娘が生まれた友人は動物の鳴きまね遊びに夢中で取り合ってくれなかったり、「とうっ!」ってヒーロー好きな後輩は話にならなかったり。でも彼らの言葉を足すと「結婚おめでとう!」になっているっていうオチ。オチに満足しちゃって種明かしが雑になって滑りかけてしまったので、急遽新郎の上司の挨拶の時流れていた、彼が勤めるハウスメーカーのCMソング「この街にこの家に心は帰るうちに帰れば積水ハウス」を耳コピしてハーモニカで吹く。ドドファファファーファファミミミーレミファーソファレミーレミファーソファレドードドソーソファミファー。ピアノやっててよかった。小器用でやっている。やれてます雰囲気で生きている。クオリティはめちゃ低く、音探して目が泳いでる様も逆に可笑しかったのか盛り上がってくれた。あとまさか新郎の父に平井堅がドはまりしてて、お父様の前で平井堅を歌った。これで僕も鈴木家の一員です。ありがとう、平井堅

 

自分の持てる力を人の幸せに使えるってのは気持ちよくて、今のところ結婚式の余興ぐらいがちょうどいい。今年もM-1に出ていてネタ作りに悪戦苦闘しているのを思うと、芸人さんにはなれないなって思う。面白いネタ考えられるのすごい。どんなにやっても2点ぐらいのボケしか出てこない。結婚式で言うと「続いての余興はシンプの友人です」っつって花嫁の可愛い友達たちが出てくると思いきや、神父の友人のクリスチャンたちがぞろぞろ出てきたら絶対面白い。そもそも結婚式の主な登場人物3人のうちシンプが2人って絶対おかしい可笑しい。

 

結婚も家庭もすごくいいなぁって思う。で、毎回僕にはまだ早そうだぞって思う。余興で楽しませることはできても、誰かと生活を共にして幸せにできる自信はまだない。台風来てるときにブログ書いてるような人間だ。

マッチングアプリも試しに復活してみたけど恋愛より結局エピソードトークにしかならないの、何より向いてない証拠だな。写真から10キロ太ったなら言ってよ、あやかさん!それはもう別人だよ!どおりで待ち合わせでなかなか気づかなかったわけだよ!面影ありますねぇじゃないんだよ!自称前田敦子のはるなさん。会ってみて分かりました、あなたは前田敦子と言うよりファービーです。久しぶりに会いました。実写版の方ですよね?飲んでる精神安定剤の副作用で感度がめちゃくちゃ高まって、小指触られただけで絶頂を迎えるまるさんには軽く恐怖。1時間もせぬうちに帰ってきたけど、帰りの電車で冷静になって思うにそのキャラ設定はもはやコント、すぐ絶頂するバカコント。いつかやりたい。あと、大きないちもつをください。

 

それでもいつか待っている誰かとの暮らしを楽しみにしたりして、ちょうどこないだ新宿NEWoManで出会った川上未映子さんの言葉にまた憧れる。川上未映子さんの読後感の設計が好きなんですよ。どんな人を幸せにできるかな。僕の大切と誰かの大切が混ざり合うのは、そりゃ楽しみである。

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大好きだった彼女に振られてしまった恋を、ベテラン先輩社員に話すと一通り出会いから別れの理由まで聞いてくださった後で「なんか、いいね。」って言われて、はぁあ??なんか、いいねだとぉう!?ってなったけど、こうして今自分が考えていることもいつか「なんか、いいね。」になるのだとしたら感性があるうちに残しておきたい。色々を経てミクロとマクロ、なんか、いい人生にしていきたいところ。令和5日目の失恋も、片方の肩が空いた変な服ブームも、飲んだことないけどタピオカだって振り返ったら「なんか、いいね。」ってなると思うのよ。
26歳の頃、出会ってくれた人が残してくれた愛とユーモア、あと言葉と音楽を少し。これからも誰かのために使っていこう。さんまのまんまの掛け軸でいつか見た「日々笑進」である。