心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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「知性の差が顔に出るらしいよ。…困ったね。」

今からちょうど40年前の新潮文庫のキャッチコピーである。

学生時代、大学4年の夏。内定もらって就活終えて人生最後の夏休み、やたらとコピーの本を読んでいた。その時読んだ『日本のコピーベスト500』という本にこのコピー「知性の差が顔に出るらしいよ。…困ったね。」の解説があって以下、拝借引用抜粋を。

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有名な「コピー・エビフライ論」の典拠となった記念碑的名作。それを要約すれば、つまりは「知性の差が顔に出るらしい」だけだったら「シッポのないエビフライ」と同じ、「よ」があり、「…困ったね。」があることによって成立している。というもの。このコピーは、たった一行で「コピーの教科書」になっている、という意味でも名作なのだ。みなさん、これを記憶してください。とはいえ、何でもシッポを付ければいい、ということではないので。ビーフシチューにウシのシッポを付けてもダメですから。そこのところは、よく考えて。(一倉宏)

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ちなみに、ファミリーマート「あなたと、コンビに」やリクルート「まだ、ここにない、出会い」などを書かれた方がこの一倉さんで、僕も好きな1曲、斉藤和義の『おつかれさまの国』の作詞などもされている。“そのひとの疲れに「お」をつけて「さま」までつけて「おつかれさまです」と声かけるぼくらの日々”なんて発見の塊、名詞名コピーです。皆さん今日もお疲れ様です。

 

誰がどう見ても夏真っ盛り、文庫本が売れるこの季節のコピーは名作が多い。夏だ!海だ!バーベキューだ!みたいな訴求だけが夏のコピーじゃないのです。2019年夏の新潮文庫のコピーは「大丈夫。きみの悩みは、もう本になっている。」「この夏を、何冊生きよう。」ほらねっ、いいでしょ?すこし昔、新潮文庫はパンダのキャラクターで「Yonda?」っていうプロモーションをかけ、最近の夏は集英社文庫が「よまにゃ」を展開している。要するにつまるところ本買って読んでよね!をどう言うかの答え、かわいすぎやしませんか?

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大学3年の6月、奥田民生の『ヒゲとボイン』に影響を受けまくったサークルの副幹事長がお笑いライブのタイトル決めの会議でずっと「〇〇と〇〇、これしかない!この2つの単語の距離感がすげぇ大事なわけよ」って語ってて、僕は語るなぁと指をくわえて見てたんだけど、最終的に「始発とテッテレー」というタイトルのライブをやったことがある。今思えば2つの単語の距離感はなかなかいい感じなんじゃないかと思う。

で、「〇〇と〇〇」スタイルで忘れてはならない新潮文庫の名コピー「想像力と数百円」。本を買って読むことその行為をここまで絞ってそぎ落として読後感を反り立たせて伝えたのが、かの有名な糸井重里さんってわけです僕はコピーの話が好きだ。


文章に人が出るらしいよ。…まいったね。自分にないものは書くことができない。「言葉が軽いよね~」と上司に何気なく言われ、いや、逆にこの年で普通の人生を送ってきて言葉が重いやつってなんですか連れてきてくださいよ!って言いかけてやめる。言葉が軽いのは何も今に始まったことではない。ノンポリノンポリと言われるし、最近じゃ「プレーン」という形容もいただく。あたしゃヨーグルトかよカスピ海もしくはブルガリア~。

考えて考えて考え抜いて一言で射貫く。いつかそうなりたいなと思いつつ、人間ないものに憧れる。早いところまずは1度諦めるとする。逆に言うと「言葉のフットワークの軽さ」みたいなものに自信があるのも事実でして、「ノンポリノンポリシーの略だ」と吹き込まれたけど調べてみたらノンポリってノンポリティカルのこと、政治活動への無関心さが語源っぽい、はいダウト。

 

先日、友人5人と車で富士急に行って、乗り物自体に胃はひっくり返り横隔膜はずっとウェーブして肺は左右入れ替わるぐらい絶頂絶好調だったんだけど、帰りの車でやった「文字増やししりとり」が、まんま自分の得意分野だった。楽しかったのでおすすめしておきます。まずは2文字から5人で回す。理科→狩り→リス→スリ→利子→みたいな。2週目は3文字だ。しきり→利益→きこり→リンパ→パクリみたいな。いやずいぶん「り」の多いしりとりだな。こんな風にだんだん文字を増やしていくとそのうち「る」から始まる8文字の言葉!?みたいな状況になる。ここですっと「ルミネザよしもと」が出てくるともうドーパミン出まくりなわけですちょっとした自慰行為より気持ちがいい。「う」から始まる8文字で誰かが答えられず、みんなで考えてみてるときも「雲散霧消」「ウナコーワクール」「ウーパールーパー」「宇崎竜童」「宇部商業」みたいなのがぐわぁっと出てきて一人絶頂絶好調。絶体絶命絶好調。調子に乗って悦に浸って「へへへ、思いついちゃった」って勝ち誇っていたら「運転免許!」が出てきて、満場一致でそれ正解。僕の答え全部食われた。「お前何思いついてたの?」って聞かれて恥ずかしくて言えなかった。「宇崎竜童とかも、、ある、よね?」と恐る恐る伺ってみたけど誰それ?で終わってすいません。どうも上には上がいるし、どうやら正解には正解があるらしい。キャッチコピーでもよく言われるけど、思いついた!からのブラッシュアップが何より大事なんです日々精進「これでいい」より「これでもか」。

 

木曜夜に、夜を更かす。「明日がんばりゃ、夏季休暇」が人をこうさせる交差せる。

本当を言うと、じっとり汗をかくような、べったり心にひっつくような、ねっとり逃げられないような文章を書きたいとも思っているけどノンポリの限界。七五調に助けられ余計な単語に蝕まれ。あああ、また読みに来ちゃったな。なんでこんな感情になるのに好きで読んでるんだろう?って文章を、いつか書けたら嬉しい。僕にもみんなにもあるはずだ。

この季節、僕が今、病みつきになって離れないSHISHAMO「熱帯夜」を聞いてお休みなさい。あああ、別に僕こんな経験ないのに、なんで分かる気がするんだろう。

癖って妄想に出るらしいよ。…弱ったね。

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