同郷の大師匠、八代亜紀さんが「歌に気持ちを込めてはだめなんです」と言っている。
曰く「聞き手が感情移入するためには自分が主観で感情をこめてはだめだ」とのこと。「名言は好きですが、名言を言おうとする人は嫌いです」というタモリさんの言葉にも通ずるのでは。「私、優しいんです!」を100回繰り返されるより、たった1回の「ハンカチ落としましたよ。」の方が優しさが伝わる。
ここんとこガの強いことばっか書いてたので冷静に。早起きした冬の朝にはもってこい。
11月27日生まれの友人がいる。つまりは僕より1日年下。ゼミが同じで毎年Twitter上でお祝いしあってもう5年くらいが経つ。身長すらーっとしてて、とってもチャーミングな女の子なんだけど言動の節々に感じる「あ、この人さては埼玉出身だな?やっぱね」感。埼玉の皆さまには大変申し訳ないんだけど、言葉の魔法、ダサイタマってあると思うの。関係ないけど「ヒロキ」って名前のやつでケンカ弱いやつ見たことないそういうの。
どうも良縁にめぐまれておらず、焦りなさんなよと悪い男にだまされるなよを毎年交互に伝えている。それに対して今年のお返事、
「悪い男に気をつけても、いい男は寄ってこないよ!」
って言われて、笑った。ストンと腹に落ちた。たしかにな、そうだよな。
これけっこういろんなシーンで使えそうな構文だなぁって思って、「うんこ踏まないように歩いているけど、100万円落ちてないよ!」って言い換えてみたら、そりゃそうだろってなっちゃった、なんかごめん。いつかあの子に5円でも10円でも見つかりますように。できればギザジュウとか、生産数が少ない年の高価なやつとかで。「やだ、100万円がいい!」って言われそうだけど。そういうとこがチャーミングなんだけど。
願わくば天国だと思いたいけど、シゴトはやっぱり戦場で。地獄ではないからご注意、勝ったり負けたり。
案件ばかり進行してって、追いつけ追い越せ借金大王。信用だけは失ってはならんと、激怒はしないが日々走れメロス。そんな状況だから同期との事務連絡、チャットの画面に
「了解ウォッチ!」
って来た時は、ほんの少しだけ救われた。頬が緩んだ。くだらないの中に愛が、と星野さんも歌っている。いい言葉だなぁって思う。
それを真似したのか、その後のくだりで
「承知ウォッチ!」
って返した同期の男子がいて、この、システムを理解せずやっちゃうあたり古典落語の時そば、あるいはこぶとりor花咲か爺さん?もちろん分かってやってるんだろうけど、これにも笑った。ほんの少しだけ救われた。くだらないの中に愛が。人は笑うように生きる。
「パクチー」のことを「パクティー」という上品なマダムがいらっしゃいましたよ。語感の良さ耳障りの良さ下半期1位。
日本シリーズ、ホークスファンにとって嬉しいシーズンが終わった。神ってたサファテはヒゲとか身長とか、本当に神さまみたいだった。1ダホーは悪くないのだ、熱男が良すぎるんだ。そんでもって古田さんの解説はいつも素敵。冷静に、でも言葉が熱い厚い。
柳田に当てる左の砂田。第2戦で打たれててももう1回当ててくるラミちゃん采配に古田さんの解説。
「勝負だから結果は出る。結果はどうなるかわからない。けど、自分はここで仕事をするんだ!という強い気持ちでぶつかって欲しい。」
自分はここで仕事をするんだという強い気持ち、だけが頭で響いた。その後、抑えた砂田に敵ながらあっぱれ。古田さんの一言で見方が変わる。もちろん、味方も。
同じく野球ネタで締めようと思う。勝ったり負けたりが転がっているグラウンドはやはり戦場で、それだけいい言葉が多く生まれるのかもしれない。
工藤監督が今シーズン、ホークスの若き4番柳田選手にかけ続けた言葉がある。曰く、
「心の中を穏やかに、今日も1日過ごそうね」
一喜一憂するんじゃなく次どうするか。プレーは続く。
出勤しながらこいつを書いている。心の中を穏やかに、今日も1日過ごそうね。と呟いてみる。
淡々と日々は続く。淡々と日々を綴る。