心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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少しだけお笑いの話をするので、お笑いが大嫌いな人と、あと同じぐらいお笑いが大好きな人は読まない方がいいかもしれません。語っちゃってるから。くっせぇから。

 

去年のキングオブコント優勝にゃんこスターの女の方アンゴラ村長も、おもしろ荘から大ブレイクしたひょっこりはんも、そして今年のキングオブコント優勝のハナコの岡部さんも実は早稲田のお笑いサークルのご出身である。僕がいた時代には早稲田には3つお笑いサークルがあってそれとは別に落語研究会もあって、残念ながら前述のお三方はライバル?サークルにいたわけなんだけど学生時代から名は轟いていたし、人生で初めて見た大学生のお笑い、2010年の新歓ライブではひょっこりはんエニグマも、ハナコ岡部さんのエガラモガラも爆笑をかっさらってた。

アイドル戦国時代と言われる僕らの学生時代は、同じぐらい学生お笑いの戦国時代だったように思う。もちろんそれ以前から脈々と続いてきたものだと思うけど、ワタナベエンターテイメント主催のお笑い大会「笑樂祭」に加えて、早稲田放送研究会が主催している「学生M-1」もあったり、なんといっても一番はテレビ朝日主催のお笑い大会「漫才を愛する学生芸人No.1決定戦」が2011年に始まったこと。いろんな大会が勃興したり、門戸を開いて盛り上がりを見せている中にあって、僕らのサークルは「勝てねぇなら出んじゃねぇぞ」っていう言い伝えがあって当時1年の僕には相当なプレッシャー。もちろん冗談半分だと思うんだけど、実際に大会に出る先輩、出る先輩が優勝しまくった時期があって有言実行ぜんぜんハードルを下げてくれなかった。僕が熊本時代から言い続けた芸人になります!はかなり序盤に弾け飛んだわけだ。

 

少し知り合いの自慢をさせてほしいんだけど、あの時代、僕のいたサークルは怪物みたいにおもしろい人ばっかりだったと思うんです。

2010年秋、笑樂祭で優勝した1つ上の先輩伊達さんは今、コントユニット「大人のカフェ」(http://otonanocafe.com/)の全脚本を担当しながら、日曜アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』や『世に奇妙な物語』の脚本を書いたりされている。

2011年春、笑樂祭で優勝した1つ上の先輩ダージリン依藤さんは、サークル同期の古川さんとサスペンダーズを組みマセキに所属してライブシーンを沸かしまくっている。

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あとセブンイレブンも沸かしまくっている。

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前述の2011年に始まったテレ朝主催のお笑い大会「漫才を愛する学生芸人No.1決定戦」の初代チャンピオン スパナペンチもサークルの先輩だ。これはもうホント単なる自慢なんだけどこの2人の新ネタを真っ先に見ることができる、あの学生会館1階和室106~109はあまりに贅沢すぎる空間だったんじゃないかな。

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残念ながら解散してしまったけれども、ボケの永田さんは新コンビ馬稼業を組み、人力舎に所属。ツッコミの高橋さんは今ビットコインの本書いてる。意味わかんねぇな。

かと思えば本当に作家デビューされた先輩洛田二十日先生もいらっしゃって、まさか作家になった先輩と出版社員の僕でお仕事できる日が来るなんて、人生おもしろーい!の第1フェーズを迎えている。

https://www.sendenkaigi.com/madoniakari/vol52.html

 

僕らの代の副代表篠原君も紹介しとかないと後でやいのやいの言われそうだから書いときます。彼と後輩田中君のコンビはこのネタが好きです。

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賞レースは新しい芽を世に出す。

すなわち優勝しなくても成長にものすごく大きく効く。知っている。先輩方の相次ぐ優勝はサークルの空気を変えた。何と言ってもテレ朝深夜番組、頑張っている学生を紹介するオードリー春日さんMCの30分間番組で「ヨセケン特集」が組まれたりもした。2011年秋の笑樂祭はサークルから数組エントリーして、結果僕らと先輩漫才コンビモリテーラーとあと古川さんが決勝に選ばれた。決勝は総エントリー100組くらいから16組とかだった気がする。結果は残念ながら、僕ら3組から優勝が出ることはなかった。自分がフルパワーで挑んだとしても、それはネタもちゃんと作りこめて、表情1つおもしろい感じでミスなく出来たとしてもそれでも、えげつないほど上には上がいる。本家M-1っていまだに4000組とか出てて何をモチベーションにするのよって途方にくれる。でも、それでも、「予選通過です」ってメールのあの嬉しさは忘れられないし、それ以降確実に、コンビ組んでたミサワ君に自信が付くようになったもの。自分で自分にハクを付ける。賞レースって素晴らしい。まだサークルのサイトに残ってたので貼ってみる。多分今よりとがってた頃だ。

早稲田お笑いサークル 早稲田寄席演芸研究会

 

学生時代、自分が体感した感動やら成長やらを今、仕事で賞レースに関わっていて誇りに思う。広告業界の発展に貢献すると理念に掲げ、コピーライターとプロモーションプランナーと映像クリエイターのコンテストを主催している。物を作る、サービスを提供することで世の中を良くしたいと信じるクライアントの情熱を、言葉一つアイデア一つで解決しようというクリエイターがいて、その両者を掛け合わせる場に勤めている面白さは自分でもまだ半分も気づけてないんじゃないかって思うぐらい底が知れないものがある。オワコンだの斜陽だの耳に優しくない声も聞こえてくるけれど、小さい頃見た12月のM-1のあのワクワクと、勝てねぇなら出るなを勝つから出ますねに翻訳してチャレンジする人たちの格好良さを毛穴まで見える距離で見て来た僕が信じないでどうするよって話です。普段誰にも話したことなんかないけど、1人静かに熱くなっている。青い炎の方が温度は高い。

 

勝てねぇなら出るなよを卒業して5年。

昔の自分に言ったらきっとびっくりするんだろうけど社会人5年目にして、君は人生で初めてM-1グランプリの予選を受けることになる。それも日程が合わないからってわざわざ台風の中、名古屋まで行って。さらにびっくりすることになんと1回戦を通過するんだ。相方は当時のミサワ君と。で、もっとびっくりするのは予選で僕らの次の3組が続けて小学生漫才師たちで赤白帽をウルトラマンにして体操服で出てくるんだけど、あ、この情報は前のびっくりが飲み込めてないからつっかえちゃうかな。

芸人さんにはなれなくてもおもしろいことを考えられる人でい続けたいってのがあって、「成功」よりも自分の「成長」、創造できないなら経験するしかない。緊張感とかもうだめだとか舞台に立つことで感じるすべてを、イメージとしては敗れた高校球児が砂集めるみたいに、持ち帰ってこようと思う。