昨晩、飯を食ったあと帰り道。ふと、同僚に尋ねられる。本当に、ふと。ふっ、と。
「だいじょうぶ?」って。
2年生のここまで、わたしの通知表はまぁ目も当てられない鼻も利かない。
よくある、デキる後輩に追い越され、オシゴトより上司の誕生日企画を考えるのに奔走してる、宙ぶらりんの2年生。どこか跳んでいきそうな。
「元気?心配で、もう、笑い少し泣きそう、辞めちゃうんじゃないか」って。と続いた。
あはは、見抜かれてるなぁという変な安心感、末っ子長男。てめぇの人生さ、好きにするよ。将来の夢?言葉の商人、笑い少し真面目に。
エイギョウが苦手なのです、能力ではなくアレルギー。小さい頃、シアワセな家族団欒の時にいつもかかって来るエイギョウ電話。「家・土地・ネット買いませんか?」って、オヤジの雷買って。
やめておくれよ、持ち帰ってよ。正直、オヤジが怒ってるのを見たのは、迷惑電話に対してだけ。変なオヤジ、公務員。民間のエイギョウ色がボクの回りにいなかったことも大きい。
でもね、たなちゃん。
だからこそビジネス感覚を養う。それしか考えていなくって。そのためにはあと何周か必要で。規模・ブランドもちょうどいいカイシャだよ。
「うちで何がしたいんだ!」ってうるさ型上司は聞いてくれる。
「はい!丁稚奉公です!」とも「はい!ビジネス感覚を養いたいです!」とも言えないからいつも少し困る。仕方なく捻り出す「この素晴らしい考えを地域にも普及させたいです!」ってよくわからないこと言っちゃってうるさ型が、激つめ型になる。イッケネ、笑い少し助けて。
やってることは楽しくってさ。オヤジが買った某腹筋マシンのその会社、実はわたしのお客さん。こないだコピーライティングの話したら、その先の生活者、オヤジに響いたとは。筋肉が落ちるのを気にする、多少患ってるオヤジだから、悠長にやっていられないのだけど。
あとね、たなちゃん。
上司の誕生日企画に奔走する理由がちゃんとある。僕の人生初上司も、僕が初部下だったらしく童貞同士、ものっそい面倒見が良い。血繋がってるのってくらい見ていてくれる。僕が何をしたいのかも見抜いていて、その上でそのために、今足りないところを言ってくれる。きょうイク事業部アナどルなかれ。
恩返し。
モノを選ぶセンスは部の女性に任せ、案の定ポールスミスの中でポールスミスっぽさをなくしたネクタイピンてふ良かった。リラックマの定期入れも喜んでた。
そんでボクはみんなから上司のキャッチコピーを収集する。
こっぱずかしい企画が一番嬉しいのだ。そう信じてる。正面突破で感謝を伝える。喜ばせるの、喜ばしい。
名作野球漫画『キャプテン』文庫版第1巻。
名門・青葉から転校してきたキャプテン谷口くんは猛烈な特訓をチームに課す。もう無理だ付いていけない抗議しようそうだそうだ!ってナインは夜に谷口くんちを訪れる。
神社にいると告げられてそこでナインが見たものは、家に帰ってからも夜遅くオヤジとハードなトレーニングを重ねる谷口くんの姿だった。居たたまれなくなって家まで走って帰ろうとナイン達。一人残った丸井は、その谷口くんの姿に、渡そうとしていた退部届を破って走り出す。イガラシも実は陰で見ていて
「これなんだなぁ、、、キャプテンがみんなをひっぱる力は、、、。」
実はね、たなちゃん。
ここだけの話、何度も辞表は破り捨てたよ。
だからもう少し、よろしくね。