心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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「人生、出会うべき人には必ず出会う。しかも、一瞬遅からず、早からず。」という、哲学者・教育者の森信三の言葉は、「しかし、内に求める心なくば、眼前にその人ありといえども縁は生じず。」と続いているの、ご存知?

 

お盆と正月は実家に帰らねばと、離れて暮らす末っ子長男のプレッシャーから解き放たれるのがそう、シルバーウィーク。昨年の仙台がものすごく楽しくて、今年どうしようと考えた時、行く理由が一番多かったのが福岡だった。そうだ福岡、行こう。ピンとこなさはさておいて、分かりやすくシーズン大詰めのホークス戦だったり、年男であるうちに見ておきたい自分が生まれた病院だったり街だったり。育ちはカナガワ、クマモトなのですが、拙者3歳児まで福岡人。幼馴染のおばちゃんもいるってもんで想いを西に馳せ。あとこれ書くのヤボでブスイだからホドホドにするけど、長らくフラれ続けた、僕にとってアイドルみたいな人がいる街が実は福岡だったりします。いや、それ目当てじゃねぇかってけっこう簡単なダウト。いやいや何をおっしゃいますやらなんて、取り繕っても恋、好意。彼女からの卒業アルバムの一言が、自分の人生を後押ししてくれたと言ってもカゴンでないゴン。(公文行くもん的)

ゼミの友人にチケットをお願いして、母に生まれた町の情報を聞いて、好きだった子にメールして。LINEは知らない。書けるメールに賭けるしかなく、返事をもらえてとりつけて、人生って素晴らしいぞって15の僕に自慢する。

神さまはそれでも意地悪で、デートを取り付け飛行機を取り付けたその翌日、発生させる台風ラブハリケーン。やめてやめてって子どもみたくダダコネまくったのが通じ、遅れさせてくれて、あぁ、一瞬遅からず早からず。ありがとうを言うのはいつだって今だ。

 

日曜日。お金で解決している部分もあるし、計画的に消費している部分もある。つまりは成田の格安航空へ。ガクセイぶりの成田。ガクセイぶりのLCC。こりゃ度々呟きたくなる旅だなって、ガクセイぶりの相棒リュックサックを背負って思う。早朝の空港は駆け回りたくなるのです。TSUTAYAの雑誌コーナーには源星野の新曲『恋』のインタビューが並び、これまた遅からず早からず。秋雨前線を切り裂いて福岡へ。

 

大学の友人はただのただの仲良しすぎて、よく言う「友達以上恋人未満」の表現で言うと「友達(他に言うことはありません)以上!」である。なんて冗談が言えるくらい楽しいやつでいいやつで。振り返れば13年ぶりだか、ヤフーがオークションまでネーミングに盛り込んだ球場を背景にパシャリ。振り返れば平家物語みたい、ホークスタウン跡地を背景にパシャリ。同じ笑顔のはずなのに後者に漂う哀愁、をよそにおよそ超満員。マッチの2発とバンディの好投。生「熱男」はもう鳥肌。改めてすごいスローガンに、でんつう九州さんに感謝。盛り上がった楽しかった。その昔のスローガン「ダ」もすごく好きだった。ぼくはやっぱり、ことばがすきなんだなぁ、にんげんだもの。あつを。

 

雨が強まる。いくつかの特急があの子の住む街へ連れていく。せっかくのLCCもバカにならない土地勘のないチャレンジングな旅でもいい。アコガれればアコガれるほど、コがれればコがれるほど、想い叶わなかったアイドルに、会える。

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とか

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とか。

お分かりのように勝手に神格化。神ってる。成人式でお写真撮ってもらったくらい。

降りやまない雨と、一生降りない駅が続く。一見平行線に見える二つの日々が実はほんの少し傾いていて、いつか交わることもあるらしいぜって、24の僕から15の僕へ。今夜のご飯は死ぬ前に思い出したいワンシーンに内定が決まっております。目も見られず声もかけられなかった当時言えなかった「かわいいかわいいかよ!」を言ってみようと思います。

駅が近づく。メールが続く。前時代的コミュニケーションはなんて愛しい。ハッシュタグNowplaying サンボマスター世界はそれを愛と呼ぶんだぜ』と、ハッシュタグNowplaying ORANGE RANGE『ラヴ・パレード』から分かるこのときの「僕」の気持ちを答えなさい。それはそうと『恋』は、どんな曲なんだろうなんて考えて、駅に着く。

 

会えた。話せた。楽しかった。可愛かった。

 

語り尽くせない3時間とちょっとは、ヤボで、ブスイだから、ホドホドに。中学でめぐり合えて、そして今再会できて本当によかった。そうすべて、一瞬も遅からず、早からず。

 

心の奥からのあったかい気持ちで、今晩の宿、高校バスケ部イケメンお調子もんの家へ。1時過ぎに泊めてもらうのだから、エロ漫画の中でも一番クオリティの高い『快楽天』さんを献上する。小一時間くだらない話をする。楽しくてあぁもう、たくさんだ。飲みたい友人がたくさんだ。

 

翌日、まさか家族そろって住んでた街を回る。モノゴコロなぞ当時は備わっておらず、生まれた病院を見ても正直ピンとは来ないけど、懐かしそうな両親の顔を見て、離れて暮らす末っ子長男なりの親孝行ふふふ。よく団地でいなくなってたってエピソードトークの中の僕や、ベランダに来るかもめに「かもめさーーん」って呼びかけてる、前に見た映像の中の姉は、20年以上昔のはずなのに僕には新しかった。姉はもうすぐ嫁ぐので、そういう意味でも仕掛けて正解だった。姉を抱えてゴミ捨てをしてた親父がいたり、出産前に筥崎宮で散歩してた母親がいたり。

幼馴染のみーちゃん家にも行けた。みーちゃんのおばちゃんに10年ぶりに会えて、笑みがこぼれた。みーちゃんの妹あおちゃんにも姉は追い越され、これで完全に団地で一番小さい存在になった。同じ九州だからいつでも会えるでしょって後回ししがちなんだけど、そこにはやっぱり「えいやっ」が必要なんだって改めて思った。まさに「しかし、内に求める心なくば、眼前にその人ありといえども縁は生じず。」

 

飛行機は無事に飛び、名残惜しくも東京へ。

あの子とのご飯は死ぬ前に思い出したい夜ランキングに堂々とランクインするし、今回会った人みんな、幸せになってほしい人ランキングに絶対ランクインするし、こんなこと言ってても何の意味もないんだけどそれくらい素晴らしかった1泊2日は、それくらい素晴らしかった1泊2日ランキングにランクインする。

検索履歴に残る、距離感も土地勘も分からない福岡の駅名がいくつか並んでいて、あたたかい。家に帰って荷物をほどき、ちゃっちくて、へろへろなホークスのフラッグに笑う。

 

会いたい人に会えて、それは多分今じゃなきゃダメで、なんとなくでも、これからも「えいやっ」って、実現できるようがんばります。

あつを。