心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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僕の中の”名言っぽいこと言いたいおじさん”が、イメージとしてはムーミンスナフキンみたいな感じでこう言ってる。
マッチングアプリにまともな人がいると思っちゃだめだよ。いないから楽しいんじゃないか。」
本格的に始めたのが肺に穴あけて仕事に穴あけた入院中の病床だったから、かれこれ2年近くマッチングアプリをやっている計算。なんなら少し前お付き合いしていた人もきっかけはtinderだった。
高校大学とヘンサチで括られて、高校大学と1人ずつお付き合いしてきた僕にとって、そんな人もいるのね!って発見の連続。彼女もいないし、遊ぶこともしないと世界の広さはそのままで歳だけ重ねてく。結婚とはまた違ったそんな焦りを感じてた頃に知ってしばらく試した。結果、今でも連絡を取り合う大のナカヨシもいるし、前述の通りお付き合いすることもできた一方で、会ってみたら写真の3倍お顔の余白がある、ぬり絵が大変そうな方もいたりした。
この夏、知り合いの作詞家さんが「20代の恋を、平成最後の夏に置いていく」って今までの恋愛を振り返るブログを書いてて、素人の恋の話を聞いてもつまらないよと言うなかれ、逆に芸能人の恋の話を聞いたってさして盛り上がるものでもない。そうじゃなくて住む場所育った景色は全然違うのに、あぁその感情あったなって共感したり、乙女心ってそうなのねって学んだり、何より書くことで救われることがあるってのは僕もよく分かってる。ここはいっそ3連休の最終日、大掃除して気づいた賞味期限切れの非常食でも食べながら、平成最後の夏に平静を装ってマッチングアプリ体験記をまとめてみようと思う。そうそう、1人暮らしも9年目になるとたいていの枕元の非常食は期限が切れている。おかげさま、無事で過ごせた数年に感謝しつつ、1人非常食をほおばる。夏の終わり。季節の哀愁を夕立に添えて。
数えたら、この2年で実際に会った人は16人もいて、他の皆さんの平均値が分からないけどすごい時代だなって思う。

さて、言うまでもなく写真と自己紹介が重要で、正解はないけど不正解はある気がするんですアプリの基礎知識。正解はないけど不正解はあるってのはこれ、人生と同じかな。女友達に聞けば自撮りとsnowのウケが悪い。どうしたってイケメンにはならないため、せめて楽しそうな写真をくりだす。最初美味しそうな馬肉の写真とかあげてたけど、そういうのいいから!って女友達に言われて了解承知かしこまり。
ちょっとした面接官の練習みたい、流れ作業を続けてると見えてくるものがある。自己紹介の貴重な文字量を費やしてでも「楽しいことが好きです」って書く人は、楽しいことが嫌いな人が周りにそんなにいたのだろうか。鼻の穴が2つありますって書いてるようなもんだなと思う。書かなくていい。「いまいち使い方分かってません」って書く人は初心ぶっているんでしょうけど、これだけ簡単なUIを分からない時点で、この先お話が楽しくなる気がしない。前も書いたけど「○○に似てるってゆわれます」の"ゆ"が死ぬほど嫌いで虫酸はダッシュするわ、苦虫を噛み潰すわ、好感度が虫の息。あとこれは人によるかもしれないけど僕は女性に面白さを求めることがないため、おもしろアピールは逆効果。「おもしろい人が好きです」もさっきと同様、面白くない人が好きな人はあまりいないし、自己紹介に二足歩行ですって書く人もそんないないでしょ。「友達に勧められて始め」たからなんだよ。親が勝手に応募してました的な恥じらいは嫌いじゃないですけどはいはい、あいあいさようでございましたかってなる。中にはびっくり「私の彼氏と3人で会ってください」みたいなアブノーマルな人もいてどうしろっていうのよお似合いですねってずっと傍らで言わされるのかな地獄だな。あと個人的にすごくヘキエキするのが胸を強調して撮っている写真で、女性性だけで戦おうとする楽さも嫌だし、これ見せとけば男は喜ぶんでしょみたいな理解のされ方も好きじゃないし、これ見ていいね!する男がいることも悲しい。そんなん僕だってキャン玉を強調して撮った写真をあげて応戦したいけどそれはNGなのもつらい。

 

思えば当時は付き合っている人もしばらくおらず、こうなったらなんでもエピソードトークだ!って飛びついてた時期で、ノーハプニングだったから胸張って言えるけど、いや別に、胸張って言うような話では絶対ないんだけど、土曜の夜にハプニングバーなるものに親友と行ったこともある。カウンターの後ろにソファやカーペットのフロアが広がる。土曜の夜は僕らみたいな冷やかしも多くって男30対女4ぐらいの比率。バスローブ着たおそらく昼の顔は社会的成功者のおっさんがなんとも言えないルックスの女の人の肩を抱いていたりとか。そのバスローブは持参したんか?かたやルームのこっち側では静かーに女性を縛り上げおもちゃを這わせてる人もいた。なにこれ、ほんとなにこれ。ハプニング見てるこっちはパニックパーティー(参照レッド吉田さん)。「俺はここで何人も抱いている。いいかおすすめは平日の昼、主婦だ!」って教えてくれる常連のにいちゃんのクソの役にも立たないアドバイスにもう絶対に来ないと決めた。AV女優さんのチェキ会に行ったりアイドルにハマったのもちょうどこの頃。野次馬根性を磨く時期だったんだと思う。知らないと否定も肯定もできない。知ってる今は否定も肯定もできる気がする。

 

そんな頃にtinderを教えてもらってやり始めたんだっけ。知らない人のために説明しとこう。異性の写真が出てくる。いいなと思ったら右にスワイプ(Like)。嫌いだったら左(Nope)。たまにどタイプだったら上にするとSuperlikeって言って相手サイドにも通知される。お互いがLikeしたらチャットに進む。あとはLINEを交換するなり煮るなり焼くなりコロ助なり。普通の友達と違って良くも悪くもいい加減でいいし、いつでも鹿十できる関係性でキャッチボールを続けさせるのはけっこう難しい。コントロールと肩の強さが求められる。この場合「よろしくー」「そうだよー」なんて一言だけ返すのは肩が弱いんです届いてないんです。僕も慣れてくるとありふれた予定調和な会話に飽きが来ちゃって「最近きゅんとした話あります?」「美味しいとろろそば屋さん知りません?」みたいな質問を何の脈絡もないタイミングで繰り出すことにはまってしまい困らせてしまった。そこから会話審査を終えたもののみが「よければご飯でも」に進むのである。

 

沿線が同じで住む家も近く出身も九州で同じだったユウコさんに親近感を覚えたものの、仕事を辞めたいのに辞めさせてもらえない激烈ハードな彼女の職場の愚痴を毎回聞いてシンプルに嫌になっちゃった。上司からきたメールの画面を見せられておいたわしや。こっちだって社会人2年目でふわふわしてた頃、何のアドバイスもできず1回ご飯食べたけどファミレスのハンバーグをご馳走してあのえっとその無理せずねって別れた。仕事辞められたのかな?

東北から出てきて東京で1人暮らし、保母さんをしてるアカネさんは、初めて会う前から風邪引いたから看病しにきて欲しいと連絡。こういうのわしが男だからいいものの面白がって行っては絶対にだめなやつ。行ってみた結果、病人の臭いと女の子の部屋の匂いが混ざったとにかく鼻に来る部屋で、ご本人も体調不良で顔が緑色。10分ほど雑談して帰ろうとしたら「帰らないで!」って腕を掴まれて、いやいや勘弁してよって振りほどこうとしても離れない。えええ剣道やってたの言ってよ。ひょろひょろの僕とパワーがトントン。いや、ちょっとほら帰りますので離してよ頼むぜ頼むよ頼みますから、いやさすがに強くない?なに?剣道ってそんな強くなるの?へー、こりゃ息子にやらそうかなお願いですちょっとほら、これもう元気じゃない?風邪ひいててこれなの?すごいよポテンシャル!なんて言いながら必死で振りほどいて大変だった。へらへらしてたけど内心めっちゃ怖かった。走って帰ったけど掴まれた感触が残ってて人が人ならトラにウマ。やばそうな人には会わないこと、そして僕はもう少し筋肉をつけること。2つも教えてくれた。やったね!

大学生モエちゃんは愛嬌あるよく笑う人で仲良くなって彼女の地元にドライブに行ったりもしたんだけど、ふと俺が今やってるこれは年齢差を生かした位置エネルギーを振りかざしているだけであって、無条件に大人で余裕があるように見えているだけで、同じステータスならそうカッコよくは見えないはずだなんて考えてたら自己嫌悪に陥って、そっと距離を取ってしまった。完全に自分が悪い。学生さんと話して今何にハマってるの?とかどういうメディアを普段読む?みたいなことは、ある意味仕事にも役立つので聞いたりするけど、カッコイイだのカワイイだのは同じレベルでは理解されないものだと思ってる。自分より大人が仕事ができるのは当たり前でそれは単なる年齢年次を距離にした時に前に進んでいるだけである。自分より年下がカワイイのは庇護欲とかロリコンとか日本人特有のコンプレックスも含まれる。先輩と付き合ってる女の子が言う「同級生男子はガキ。やっぱ男は年上よねー」みたいなものがちょんちょんに嫌いだったくせに、自分が今そうなってしまっているのではと思ったら一気に情けなくなっちゃって勝手に近づこうとして勝手に離れてしまった。もう会うことはないでしょうけど、社会人でもあの笑顔で頑張ってくれてたらいいな。

ララランドを一緒に観に行った韓国人のスルギさんは大学も同じで仲良くなれたら良いなと思っていたものの、映画の後行った居酒屋で「好きなタイプは優しい人。歩いててこっち歩きなよって車道側を代わってくれるときゅんとする」って言ってたのを真に受けて帰り道に早速「車道側代わりますよ」って繰り出したら「いや、早速だな!」ってバシーンと突っ込まれてその後LINEは返ってこなくなった。むずいよ!

かけるさん副業とか興味ない?って言ってきたシホさん。旅行行くだけでお金がもらえてたまるかよ!アムウェイ以外にもネズミっているらしく、ネズミ捕りがネズミにならないようにしないとね。

ワインに詳しい4つ下の建築学生のゆりさんにはワインを回す方向が違うと叱られた。それだと相手にかかっちゃうでしょって言われてへーいって、もうびっくりしたよ人間恥かくとワインの味って感じなくなるんだね。僕のほっぺだけ白からみるみるロゼに染まってく。
そしてプロフィール写真から3倍ぐらいお顔の大きいまゆさんは申し訳ないけどどのトークテーマでも顔を見るたびに吹き出しそうになっちゃって無理だった。加工ってすごい。プロフ写真は何が写ってるかじゃなく、何が写っていないかにこそ目を向けないとね。すぐに切り上げちゃった。

 

で、まぁこれだけ会って結局乙女心のおの字も分からないままなんだけど、へ~化粧水のあと乳液ってものをしないと水分が蒸発しちゃうのね~みたいな女子にとっては当たり前でも野郎どもの間では絶対話さないような話を聞けたのはとてもよかった。僕のお洒落レベルが4くらい上がった。前髪が決まらないこととか、1kg太ることがどれほど悩みの種になるかって話だし、趣味が合って会話も合って3回デートして2年半ぶりにお付き合いできた方もいる。SNSで出会った人の方がもともと趣味が分かってるから長続きしやすいらしい。ネットの出会いも当たり前になってきつつある。

 

好きなブロガー、ウイさんのこの記事は国語か道徳か保健体育でもいい、何かの教科書に載せるべきレベルでとてもいい文章で大好きなんです、もう読んでますよね?

www.zentei-happy-end.com

 

いろんな女性に多少なりとも会ってみて、外見とかスタイルはホントどうでもいいなぁって思うようになった。可愛いけど嬉しいポイントが分からない女性には自分の持っている価値を1つも提供できないし、恋愛市場が文字通りマーケットであるからにはスペックやら付加価値やら選び方は見た目以上に重要な尺度も見えてきた。

平成最後の夏、夕立も止んでスズムシが静かに鳴いている敬老の日19時時点での自分の3つの条件を書いておこうと思います。

1、ツッコミどころの多い人。

えぇ、何そのオリジナルルール!?みたいな会話を死ぬまでしていたい。お前ほんと好きだよねって昔からの知り合いには言われるんですけど、変わった人がずっと好きです。

2、自立してる人

ここでも登場”名言っぽいこと言いたいおじさん”が昔の自分に言ってやりたいのは、「依存を許すのも一種の依存」。会いに来てと言われたら行っちゃいがちな自分の反省点で、僕がいないコミュニティでも時間でも楽しく過ごしててほしい。自立してると他者へのリスペクトも出てくると思います。

3、音楽が嫌いじゃない人。

3つ目の条件は難しいんだけど、風呂でも料理しながらでも家の中でよく歌っちゃう人間なので音楽が嫌いじゃなければいいな。クリスマスとかは2人でいろんなクリスマスの歌を歌ったりしたい。

この3つに当てはまる人がいたらすぐSuperlikeをしようと思います。

今年は短い秋だと思いますが、皆さんもぜひ3つの条件を考えてみてはいかがでしょうか。

おしまい。