心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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「世界の名言集」を読み漁るマセガキが、中・高・大学と加速度的にオモシロい人たちのオモシロい言葉に触れ、こうなりました。今後は社会にて仕上げていきたく思います。選んで頂いた企業様、および両親に感謝します。


これ、学生時代に運良く受賞したとある広告賞での、僕の受賞コメント数えたら4年も昔。何を今さら、過去の栄光に浸りたいってわけじゃなくって、当時の自分のコメントが的を射まくっていることに気づく5年目を迎える春。え?的を得る?射るじゃない?とまぁ、このくだりがまったく的を射てないわけで。え?得る?射るじゃない?

いいよ続ける。

 

人生エピソードトーク

分け入っても分け入っても青い山。ほじくってもほじくっても昔は昔。自分自身の中から生まれる新しさに新しさはそんなになくて、だったら経験するしかない。それはやっぱり人に会ったりどこかに行ったり何かを味わったりすることだと心得ている。もっと言うとこのWeb時代、更新を意味する「2.0」がほうぼうで聞こえてくる。アップデートや学び直しが求められる今、冒頭の自分のコメントは、ほどよく元々の自分を諦めた上で、戦い方を考えなさいよと教えてる。

僕個人のおもしろさで戦ったら一撃で負けるってわかっている分、面白い人たちに会いまくって、いい話を仕入れ続けて、少しでも提供価値を増やしていけたらと思う5年目を迎える春。

 

てなわけで行ってきましたまいど大阪!おおきに春分、ありがとう文春。この時期、ガクセイのうちしか旅行いけねぇって1ヶ月に3カ国詰め込んだ4年前の僕に言ってあげたい言葉は、いやいや案外行けちゃうよ、である。

なんてツイてるんだ!って言い続けてると本当に運勢が回ってく不思議。平日休みの友人と大阪勤めの友人にいっぺんに会えるなんてなんてツイてるんだ!2年前、肺に穴を開け即入院したその同じ日とは思えない春分の日に感謝感激春一番

 

仕事終わりに東京駅に向かう。スマホを泉に落っことさないよう気をつけて、トイレで着替えを済ます。スーさんが待っている。スーさんってのはたまにしか呼ばないあだ名。そりゃそうさこの時代、ブログに実名書くわけにはいかないもんねっ、鈴木くん。

ちょっとした憧れ、駅弁とビール、気分は学生自由席。平日休みのスーさんと泊まりの旅行なんてスーパー嬉しくて、ガラにもなく今好きな人の話とかしながら通り過ぎる静岡名古屋。はいできました。新幹線とかけまして、ポコチンととく。その心はどちらもエキを飛ばします。

えっ?気心知れた関係はいくらでもすべっていいってルールでしたよね?一旦止まって京都駅に確認する。

 

23時にたどり着く新大阪1年ぶり4回目。

右側が埋まるエスカレーターにワクワクしちゃう。身の回りにいる男前ランキングで上位に食い込むクールな顔したスーさんですらゴキゲンなのかドリカム大阪LOVERを鼻歌ってる。「何度ふふふふふふっふー」って歌詞知らんのかいこいつまじ。「めっちゃすっきゃねん」って最後関ジャニで終わるんかいこいつまじ。

イケメンってのはこれで許されるからすごい。おにぎり食べてて目が合っただけで「ちょwラマみたいwwこっち向かんでくれんwww」って同級生女子から言われたことある僕とは大違いだ。

 

荷物置いて繰り出す繁華街。旅の恥はかきすて。冒頭のコメントじゃないけど面白い人を引き寄せる才能があるらしい。飲み屋でたまたま隣にいたシノさん(24歳会社員)は、聞けばお父さんが東北で彫刻家やってるらしく、家業を継いでくれるお婿さんを絶賛募集中。なにその独特な婚活条件の設定。「なんで東北から関西に来たの?」「だって関西弁かっこよくないですか?」「ほう?」「関西人みたいに自己主張できる人に憧れて、それで配属選ぶ時に大阪に〇を付けました」「ほう?東京にもいるよ自己主張できる人」「東京は都会だから怖い」「ほう?」

少し話して悩み相談みたいになって、グータラをどうかしたいと話すシノさん。曰く「2周目が来ちゃうんです」とのこと。例えばハサミを出して使う。あー片付けなきゃと思いながらもグータラゆえ片付けることができず数日放置。そうこうしてるうちにまたハサミが必要なタイミングが来ちゃうとのこと。「つまり物は片付けない方がいいんですよ」と一番やっちゃいけない答えを彼女が出したところで僕らはお会計をしたんだっけ。もう会わなくても言っちゃう「またね」。「東京のイメージが変わりました!」って最後に言われて嬉しくなるけど僕熊本人。いい跡継ぎが見つかりますようにって願いながらスーさんと歩いて帰るホテルまでの道、雨男。

 

ホテルで死んだように眠る。生まれたように起きる。ねっむぅ。しかも雨さっむぅ。

夜から合流する予定の友人ともひろ以外ノープランで、とりあえず繰り出す道頓堀。たこ焼き屋はスーさんオススメのあっちち本舗食べる。フワトロあつあつタコタコでこれがまぁうまい。それでは聞いてくださいあっちち HAPPY DAY。

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なんでしょう、この耳残りのよさ。今後もし大阪の曲と言えば?と問われたらドリカム大阪LOVERでも関ジャニでもなくあっちち本舗と答えようと思う。

 

食いだおれ君もグリコ君も写真撮るときスーさんが全部右手で押さえやがって隠れちゃってるのくだらない。腹ごしらえは串カツ屋さんへ。ここでも引き寄せちゃう変な才能、接客してくれた外国人(ベトナムとかそのへん)の女の子は「ハジメテナンデス」ってバイト初日が祝日の今日?ゆっくりでいいよ、ゆっくりでいいよって優しくしてみたらゆっくり押し間違えちゃった。スピードメニューナスの浅漬けのはずが、時間かかった上に衣ついたナスが串に刺さって出てきてわらう。なに無問題、昼間っからビール飲んで串カツ食べて幸せとはこういうことじゃないか。もうちょっと酔っぱらおうかって黒霧のお湯割り頼んだら、水割りが出てきて寒くて一気に酔いがさめるわらう。

 

通天閣に行きたいって駄々こねて、途中通った新世界は東京で言うと秋葉原っぽくておたく風の方々も多かったんだけど、すれ違う大学生ぐらいのオタク二人組が「へーそれは生きる価値のないフレンズだね〜」って言ってたの今すごく気になっている。

通天閣では観光地あるある、エロすぎるガチャガチャがあって500円。ちょっとやってみてよと言われたらやっちゃうタイプ。「なんと私見つけちゃいましたよ!」なんてスーさんのカメラでユーチューバーごっこ始めたらゾクゾク中高生が集まってきちゃってさぁ大変。出てきたパンティーを被ってなんとかスベり倒すことは避けたけど、あぁパンティー被る向きが逆だったなとか、顔引きつってんなとか反省反省。

 

写真撮ってくれて気に入ったら買うシステムの通天閣の写真コーナー。

「はい、つう、てん(パシャ)、かく認しまーす。」とか「上手にとれタワー!」とかおっちゃんたちはのせるのが本当に上手で、パンティー被る向きが逆だったことを反省している自分がちっぽけに思えてきた。僕にもう少しユーモアをと願う、ビリケンさんの足の裏。

 

天王寺動物園は横目で通り過ぎるだけ。2人ともそろそろトイレに行きたくなったのでいざ、あべのハルカス!目的はきれいなトイレ、それだけ。ばちあたりかもしれませんが、優雅な時間を過ごさせていただきました。ふー。

ふーっと気合を入れて歩いてみる飛田新地。4週目に入ったら冷やかしだと思われて怖いお兄さんたちに連れていかれるゾなんて噂を聞いていたけど、真剣に選んでいる人たちは何周もしていて、もっと言うと車をすごいゆっくり運転して見定めている人もいた。うわ、あの子芸能人みたい!とかうわー妖怪みたいだったな今のとか異世界を味わってお腹いっぱい。最後のご飯へ向かう。

 

僕、スーさん、大阪勤めほぼ卒業以来のともひろに加えて、かけつけてくれたサークルの先輩まさるサン。このまさるサン、名字が花田だからお前はまさるだって理不尽極まりないあだ名を付けられても笑って許してる心優しい先輩もしくはバカ。そういや僕らもマツモトカズナリっていう後輩に嵐って名づけてたし、あるあるなのかもしれない。

千房のお好み焼きがおいしいのはもちろんのこと、あれ俺こんな顔してたっけってぐらい笑い過ぎてて、楽しい時間は過ぎるのが早いし、顔面が溶けちゃうね。まさるサンは聞いてもいないのに「俺は飛田に3回行った」と素人っぷりをアピールしてきた。彼が一番楽しそうだった。頼んでもないのに僕ら用に忖度まんじゅうをお土産に買ってくれた。「いい人。贅沢していい人。」っていう缶コーヒーのコピーを思い出した。

 

10月、ともひろの結婚式でまた会えたらいいね。今度こそ来られなかったジュンさんも一緒にさ。ゆうやの娘にも会っておかなくっちゃな。あいつに似たらブスになっちゃうな。いや、奥さんに似てもブスだろ。うわ最低www

会いたい人があちこちにいる。

いつ会っても楽しそうな自分でいたいと思う。

 

この時期。会う人会う人に「よい春を。」って言うようにしてる。

それは夏、秋、冬じゃやっぱり違くて、旅立ったり環境が変わったりする春だからこそ成立すると思ってて。

スーさんも、結婚するともひろも、素人童貞を極めるまさるサンも。グータラな飲み屋のシノさんも、串カツ屋初日のあの外国人も。もちろん僕もまた。

どうぞそれぞれに、よい春を。

296

「すべてのシーンは、未来につづいてる。」

 

ドラえもん のび太太陽王伝説』のコロコロコミック限定版ポスターは、歴代のドラ映画のモザイク絵になっていて、こんな一言が書かれている。実家の自分の部屋、机の横に貼り付けたお気に入りのポスターのワンフレーズに今、共感する。

余談だけど、僕は一貫してコロコロボーイだった。コロコロコミックの戦略のブレなさってすごくってズバリ「異性に興味が出てきたやつは去れ」である。お色気とかキュンキュンではなく徹底して小学生男子がバカ笑いできて胸が熱くなるそんなコンテンツ。小学校6年間読み続けた。宇宙人田中太郎の最終回は少しいい話風だったし、なんで桑田とピッピはあんな最低なキャラなのか分からなかったし、ドラベースは毎月の連載を律儀に切り取ってぼろっぼろのマイ単行本を作ったりしてた。おかげでやりもしないのにデュエル・マスターズキラカードは30枚近く溜まって、今じゃホコリがたまって、価格相場を見ながらにやけるメルカリ。負けるなコロコロ!勝てないよでんぢゃらすじーさん

 

冒頭のドラのポスター。実はこれ、僕の記念すべきインスタの1枚目。どうしてなかなかイイデビューじゃないか。いいね0でもいいねいいよね?

個人的にどうしても映えだけは使いたくなくって「寄り」とか「側」とか「っぽい」とかどうかなって思ってる。お前インスタ寄りだなー!まぁ俺インスタ側だしな。ちょっと待って今のインスタっぽくない!?「っぽい」は思ったより普通、っぽい。

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最近思う。ドラのコピーはこうとも言える。

 

すべての「あの頃」は、未来につづいてる。

 

この時期思い出すのはやっぱり受験、2010年の3月4月。

芸人になるなら早稲田ぐらい出なさいってぶっ飛んだ先生に言われて早稲田ぐらい出るかなって意識して、受験期1週間の東京滞在。 歴史の時間はこれでもかってぐらい寝てたから、なに1つ覚えてない日本史せぐっちゃんごめんなさい。こんだけ文系人間なのに文系学部は実は早々に諦めた。

日本史の時間に学ぶ人体の不思議、腕組むと寝ちゃうんよねってアホなお悩み相談する僕に、大津の神童シノくんが「あれつたい、騙されたと思って腕ぶら下げてみ、まじ目さめるけん!?」ってこれまたアホなアドバイス。おかげでペンも持たずメモすら取れなかった。騙された。

実は数学受験をしたのだが、家庭教師ヨシダ先生は僕の人生の恩師の1人。ダーワセの人間科と社会科と商学を受けた。初日の人間科が終わった後、僕は案の定ペイチャンネルの誘惑に負けてしまって、その後の試験はまぁひどかった。知らんがなだと思うけど一応国立も受けるかって埼玉大も受けた。なんでかって教養学部ってのがあって、その頃のなりたい大人が教養がある人、強要しない人だったからという、この辺りからサーフェス人間の本領発揮。

 

なんせ東京を1週間堪能する。馬場のサンルートから聖蹟桜ヶ丘のいとこ、ケン君ち。その後前橋のおばちゃんち、最後池袋のザビーホテルを転々とてんてんてん。ケン君との思い出はこっちにまとめてたりする。

showkakeru.hatenablog.com

時はバンクーバー五輪真っ只中。「真央ちゃんが頑張ってるから私もがんばる!」って当時お付き合いしてた女の子の健気さと、18歳の自分の胸のざわつきと不安を今でもたまに思い出してチクリとする。

 

それでも春はいきなりやってくる。気づいた時が春なのです。

受かったのは人間科。ペイチャンネルに手を出す前の受験で、上京のはずが所沢。それでいてさらに補欠合格ときたもんだから8年前のこの時期はバッタバタバッタトンボカミキリムシ、3月15日に補欠合格の知らせが来て22日に家探しに来て29日に一人暮らし始めるみたいな感じ。そりゃ親のありがたみも後から気づくってもんだ。

 

小手指の北口、スリーエフの方って言っても駅から徒歩13分のスリーエフなんざ誰も使わない。畑に囲まれて学生生活が始まった。

現役?浪人?じゃなく「君何浪?」って聞かれた時は素直に凹んだり。初めて一人で食う駅前のなか卯は頼んでないのにつゆだくだったり。スポーツ科と共にするキャンパスには180を超えた女性アスリートが両脇にバスケボールを抱えていたり。

待望のお笑いやりたいなって探しても、トコロザワにはお笑いサークルはない。仕方なく本キャンで彷徨うサークル探し。当時、早稲田にはお笑いサークルが3つあった。

50年近く続く老舗お笑いサークルがあって、そこから独立したインカレワイワイマンモスお笑いサークルがあって、さらにそこから独立した少人数のお笑いサークルがあった。ここだけの話、マンモスお笑いサークルの幹事長は今ひょっこりはんとして大活躍されている。当時は普通に漫才してて、普通にすごく面白かった。

一方老舗お笑いサークルの方は花見に行ってみたらトドみたいな女の先輩がいてずーっとパンツが見えてて「見る?」って言われて一気に帰りたくなった。しゃくれてた幹事長が優しかった。

 

お笑いやりたがってた割に最初に入部したのはバレーボールサークル。なんでかってシンプルで、本キャンのサークル入ると所沢キャンパスに友達ができないどころか、ゼミが始まる3年まで本当に居場所がないからだ。トトロのモデルになったとされる狭山の山の中、閉鎖社会の辛いところである。

4月1日、入学式に向かう道で声かけた大学最初の友人が聞けば山梨2位のセッターで、あれよあれよとバレーボールサークルの門を叩いてた。こう言う時は乗っかるに限る。不思議なご縁、家庭教師ヨシダ先生の弟もなんとそのバレーサークルにいて、一緒に持ってきたグローブ達が多少寂しい顔をしても、所沢に居場所をくれたバレーサークルの皆さんに感謝感謝。あと大学最初の友人にも。つい今週娘さんが産まれたというから、こういう時は乗っかるに限る。僕も娘にはリンカちゃんと名付けようと思う。

 

トコロザワに居場所ができた僕は真剣に2つのお笑いサークルで揺れ動いてて、決め手になったのはなんてこたない飲み会のクソみたいな話だったりする。それは老舗お笑いサークルの飲み会で、楽しすぎてトド女先輩のパンツのトラウマはすぐに忘れた。

「ホシカワって変な名前だな」

「(失礼だなぁ)はい、珍しいですよね」

「こいつも名前ムゲンって言うんだぜ」

「(うわ変だな)まじすか」

「いやお前も変なイトウだろ」

「そうなんだよ俺イトウってんだけどさ、イトウのイの字は依なんだよね」

「(うわ変だな)まじすか」

「で、こいつニレイ」

「ニレの木って知ってる!?」

「(知るワケねぇだろ)いえ知りません」

みたいなテーブルに変な名前が4人集まっててその1つ1つにげらげら笑っちゃった。

「おーおつかれ」

「あ、お疲れ様です!」って入ってきた先輩がキムラさんっていうめっちゃ普通の名前で、童貞で、この人がとんでもなく面白い人で僕はヨセケンに入部を決めたんだった。

木村さんはエピソードがすさまじくて、童貞のまま大手広告代理店入ったけど辞めて落語家になって、ネーミングライツヤフオクに出したら地下アイドルに買われて、一時期名前が立川仮面女子っていうアイドル名になってた立川談志のひ孫弟子のお方なのだ。

落語家「立川仮面女子」が街頭ビジョンで改名発表

 

あと又聞きで恐縮なんだけど、木村さん、親に冗談で「あんた早く彼女作りなさいよ!笑」って言われて「ごめん、俺色盲だから運命の赤い糸が見えねぇんだ」って言って、ウケると思ったらそのまま親が「ごめんね、、、、!」って泣き崩れた話とか、超好き。何度聞いても笑っちゃう。

とにもかくにも面白い人たちがいっぱいいた。「野球なんて木の棒振り回して炎天下の中走ってあんなのはバカがやるスポーツ」みたいな説を大声で唱える先輩、ムゲンさんがいて、これまで野球しかしてこなかった僕からしたらむかつくんだけど目からうろこ。そんなカルチャーショックが毎日起きて飽きなかった。僕含めクズしかいなかった。

新歓で「見てみ、全員ちょっとずつ変な顔してるでしょ」なんて1年生に紹介するサークルはきっとそうそう他にない。サークルで一番まともなやつが社会に出たらだいたいちょっとポンコツ、ってのは今の僕がまんまそうで、ミスしてお叱りをいただきながらたまに脳みそが少し笑ってる。

 

そうそう。

2月のこのブログはたかだか500PVとかで、そんなちっぽけなブログを続けている理由もお笑いサークルにある。代はかぶっていないんだけど、とある先輩がずっと綴っていらっしゃったブログを学生時代からひっそり読んでいた。就活の失敗とか社会人の鬱屈とか、それでも消えないお笑いへのストイックな情熱とかめちゃくちゃかっこよかった。お笑い、野球、音楽など少なからず影響を受けたと思う。一回だけブログにコメントをしたことがあって、その返事で「俺は4年目くらいから状況が徐々に良くなったので、まだ時間もあるし若いから、自分の武器を磨いてください!」って仰っていただいて、今まさに4年目。相変わらず弱点ばっか目に付くけど、なんか書いてたいっていうのはもう、ちょっとした武器だと思って、くだらなくてもサーフェスでも書こうと思う。舟橋さんっていう先輩のおはなし。

www.creativevillage.ne.jp

 

すべての「あの頃」は、未来につづいてる。

 

「あー、レ点ね!」なんて国語の時間のエピソードトークをみんなで語り合って共感を得られたら単位をもらえるという一風変わった講義その名も「国語という授業を考える」。この講義をたまたま一緒に取っていたすらっとした見た目も言葉遣いも麗しい女の子は、地下アイドルからグループに所属して脱退して、この時代に珍しくソロアイドルになって、そこからとんでもない努力を重ね、しかもそれを全く見せない表情で今も前線でアイドルを続けていて、寺嶋ゆっふぃーも早稲田の尊敬する人の一人である。

www.youtube.com


すべての「あの頃」は、未来につづいてる。

お世話になった先輩が結婚したり、親友の子どもが生まれたり、知ってる人がまたいい仕事をしていたり。

この時期の不安をいつもふっとばしてくれる「あのころ」がある。

地続きの未来が、少し嬉しい。

295

えー、

続いての曲は、友達に誘われて下北沢のライブハウスでいろんなバンドマンたちの演奏を見てた時にふつふつと沸いてきた感情を歌にしたものです。もし例えばですよこの空間このライブハウスに自分の好きな人がいたとして、その子が憧れの眼差しでステージの上のほかのバンドマンを見ていたとしたら、って考えてたらそれだけでどえらい悔しくなってやりきれなくなって逃げたくなるんですよ僕はね、そうなっちゃうわけですよ、それであの聞いてください。

 

「バンドマンよりこっちのがいいよ」

 

Aメロ

長髪は無理だぜ、天然パーマって知ってる?あれなのよ、どうも髪まっすぐ伸びねぇのよ。

入れ墨は無理だぜ、街のお風呂屋さんに行けなくなっちゃう。教員やってる親泣いちゃう。

Bメロ

中指立てるなよベロ出すなよ何かやなことあったのかよ話なら聞くよ。

サビ

僕はバンドマンになれない。

僕はバンドマンになれない。

スポットライト、6弦のギター、来世はどうかお手柔らかに

僕はバンドマンになれない。

僕はバンドマンになれない。

バンドマンよりこっちのがいいよ

カエルの歌でも輪唱しよう

 

間奏(12秒)

 

Aメロ

タバコは無理だぜ、肺が弱くてさ喘息持ち。右に2回穴開けてハイ気胸。あとダメ喉も弱め

ピアスは無理だぜ、ここまで似合わないと予想されるお洒落も珍しい。穴なら肺だけで十分さ

Bメロ

中指立てるなよベロ出すなよやめときなよ人をなんだと思ってるんだよこっち来て座りなよ

サビ

僕はバンドマンになれない。

僕はバンドマンになれない。

大きい声は出したいぜ。伝えたいメッセージは特にないぜ。

僕はバンドマンになれない。

僕はバンドマンになれない。

バンドマンよりこっちのがいいよ

SUKIYAKIソングを一緒に歌おう。

 

間奏(26秒)

 

Cメロ

そりゃ欲言うとTシャツとぴっちりしたジーンズ

はだしの舞台、27で死ぬことに憧れて、

酒とたばことドラッグとセックスを友だちに、シモキタを我が物顔で歩きたい

けど~け〜ど~

サビ

僕はバンドマンになれない。

僕はバンドマンになれない。

けどバンドマンじゃなきゃ歌っちゃダメって誰が決めたんだい

僕はバンドマンになれない。

僕はバンドマンになれない。

バンドマンよりこっちのがいいよ

カタブツに見えるけど熱い男だよ

 

僕はバンドマンになりたい

僕はバンドマンになりたい

すれ違う人がビビるぐらい今、鼻歌大きくなってる

実はバンドマンになりたい

君のバンドマンになりたい

バンドマンもいいけどこっちもいいよ

何卒ご検討ください

ウォウウォウ〜ウォウウォウ〜

 

 

294

グラビアアイドルという職業を全面的にリスペクトしてる。

 

水着着て写真撮られて、僕だったら笑われることはあっても感動させたり勇気与えたり青少年を興奮させたりはできないしな。

で本日、清水みさとさん「あの頃グラビアアイドルだった私と」展行ってきました表参道。とんでもないスタイルの良さでDVDバカ売れしてた清水みさとさんは今、舞台女優らしいです。で、引退した後に最後もう一度感謝を伝えたいってファン呼んで撮影会やってそのファンが撮った写真が展示されてたわけですよ。それが「あの頃グラビアアイドルだった私と」ってわけだ。

 

中には正々堂々えろえろしく撮るファンもいればさ、あえて足首だけ撮ってるやつとかさ、もうファンが本気なわけ。僕は写真はやらないからよく分かんないけど好きな人にカメラ向けて写真を撮る、しかもそれが最後って分かってて撮るその気持ち想像したらすげえ感動しちゃったわけです。


知らないと思うけど「撮るという、アイラブユー。」とか「キミが好きだと言うかわりに、シャッターを押した。」とか「ただ一度のものが、僕は好きだ。」とかカメラのキャッチコピーって名作揃いなんですけど、まさにそれ。水着の女の子撮るなんてどこ見ていいか分かんないぐらい素面じゃやってられないと思うけど、好きな子だったら本気で撮るもんな目を背けずに。そこには言葉で伝えられないほどの好きがあると察する。


調べたら清水みさとさん、同じ年次で大学を卒業されててそれもまた感情移入ポイント。スタイルが良くて可愛い同級生が水着一枚で全国規模で勝負してる。リスペクトしかないとはそういう理由だ。

グラビアアイドルであり続けることの気苦労とかを勝手に察して、奇跡みたいな身体を僕らは拝ませてもらっていたわけで、今日はご本人もいらっしゃったから本当はそういうありがとうを直接伝えたかったんだけど、結局逃げるように目を逸らしながら泳がせながら出ちゃった。

 

いくらカッコつけていてもこちら側に並んだ時点でファンになると分かっていても僕は正しいファンの振る舞い方を忘れちゃう。グラビアの難しいところで、好きだけど好きって言うとえっちい奴というポジションになっちゃう。あ、いや、まぁ、えっちい奴に間違いはないんだけど。

あぁあ、僕も写真が撮れれば。

 

ただ存在するだけで奇跡みたいな人たちとか、表舞台に立って勝負してる方々に対してのありがとうと応援してますと好きですを、絵が描けるなら素敵な絵を、写真が撮れるなら素敵な写真を、曲が作れるなら素敵な曲を贈ったりして届けられればいいんだけどだめね難しいから言葉で伝えていくしかないってこうしてメモすることにします。

 

清水みさとさんありがとうございました。

今日はもうあなたの美貌とファンの愛を繋いだ企画の勝利だと思います。

愛しかない今日の空間を僕は多分ずっと勝手に覚えてると思います。

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293

密度と、食い応え。

 

人間、悲しいかなこの人からもう新しく得るものはないな、底が見えたなってどちらかが思ったら、関係が終わるようにできているらしい。どちらが悪いってワケじゃなく。「長く続いた恋が終わるのは、お気に入りだった服でもサイズが合わなくなってもう着られなくなることと似てるのさ」って、学生時代の彼女からもらった本の中、確か糸井重里さんが言っていた。どちらが悪いってワケじゃなく。

だからこそ最近考える「密度と食い応え」。一緒に過ごす時間のその密度と、目と耳から入ってくる情報のその食い応えを少しでも高めて提供していきたい。飽きられたくないし、変わらずいるために変わり続けていたい。

人間、悲しいかな無いものに憧れる。現実の僕は、物事の本質を気にせず表層だけに関心がいく奴だからって、上司からこないだ「サーフェス」ってあだ名を付けられたの笑っちゃったな。よく見てくれてるなと、いっそもう感謝する域だ、意気だ。今、思い出したけど学生時代、お笑いサークルの先輩漫才コンビで「へー、そんな側面もあんのね」「いや正面だわ正面!」っていう好きなくだりがあって、これいつかどこかの飲み会でかませないかなって狙ってたりする。

最近思うに日常のどの場面にも「ひょうきん」が少し足りていない気がしていて、ひょっとしてこれは神から与えられた自分の役目なのではって思ってる。すれ違いざまの2,3ラリーでちゃんとクスクスってなるような。LINEなんかはほんと命がけ、返信のスピードも求められる。千原ジュニアが言う、エレベーターで何階を押されるか分からないけど何階だろうが難解だろうがきちっとオチまで持っていく大人力みたいな。そう、密度と食い応え。

 

コーコクギョーカイの末端にいて思うに、密度と食い応えを磨くための近道は、ボディコピーを書けるようになることだと思ってる。とにもかくにも広告が見られないどころか嫌われてるようなこの時代、言ったら、最後まで読んでくれた人へのサービス精神だけで筆を走らせているものがボディな気がする。とはいえあなどるなかれ。強豪校はキャッチボールを見るだけで実力が分かるようなもん。ボディコピーを書かせりゃその人の実力が丸わかり。ゆえに、名作と言われるボディコピーも数多く。

女子中学生が黒板に好きな歌詞(バンプとかラッドとか)を書くように、男子会社員がブログに好きなボディコピーを書く。

 

キャッチフレーズの受け皿でもあり、より鮮明で心地よい読後感が求められるし、与えられる。さらには食い応え。ボディコピーの中にいいコピーが3つ入ってるくらいを目指すべきだということらしい。特に最近のものからチョイとチョイス。

 

①ライオン 企業広告 「今日を愛する。」

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「今日を愛する。」に込めた想い|「今日を愛する。」ツナガルサイト

今日を愛する。がキャッチフレーズでその上の24行がボディコピーだ。

僕がライオン社員だとしたらこれ嬉しくて泣いてると思う。自分たちの存在価値とか意義とか使命とか、「なぜなら、そこにライオンがいるからです。」を読むたびいつも僕は心が震える。

 

トンボ鉛筆 企業広告 「ロケットも、文房具から生まれた。」

文房具といっしょにいる時、人はとてもいい顔をしている。
つくづく、そう思うことがあります。
書く。ひたすら書く。机に向かうその清潔なまなざし。
手を休める。思いをめぐらす。
遠くを見つめるそのやわらかなまなざし。

考えている。苦しんでいる。迷っている。もがいている。でも、
まちがいなく前へ進もうとしている。
思えば、文房具は、人間のそんな素顔を、
なんと長い時間見つめてきたことでしょうか。

幸福な仕事。

自分たちの仕事を思う時、私たちトンボは決まってこの言葉に行きあたります。
なぜなら、私たちのそばには、いつも頭と心をいっしょうけんめいに使う人がいて、
その人の手から、必ずひとつ、この世になかった新しい何かが生み出されている。
そう思うたび、誇らしさに胸がいっぱいになります。

傷つきやすく、たくましい。弱くて、かしこくて、とほうもなくあたたかい。
そんな人間が、一番人間らしくあろうとする時に必要なもの。
トンボは、これから先も、ずっと人間のそばで暮らしたいと願っています。

トンボが動いている。
人が、何かを生み出している。

トンボ鉛筆

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キャッチで心を掴んで、最後の「トンボが動いている。人が、何かを生み出している。」の押さえまで完璧。最後まで読ませて、これでもかと食い応え。

岩崎俊一さん、岡本欣也さんという僕が大好きなコピーライターのレジェンド達の作品です。

企業広告「ロケットも、文房具から生まれた。」第14回中日新聞広告賞部門賞を受賞。 | 株式会社 トンボ鉛筆

 

日本精工 企業広告 「マサツ」

生まれて→成長して→壁にぶつかって→へこんで→なんとか乗り越えて→

少しだけ強くなって→世界が広がったように思って→新しい悩みができて→人を傷つけて→

傷ついて→結局ひとりなんだと思って→なのにまわりに助けられて→社会に出て→

たくさん期待して→ハードルは高くって→無力だなと思って→なんだか嫌になって→

あきらめようとして→あきらめられなくて→開き直って→よしもう一度→


イケ マサツ ヲ オソレズニ→

機械の摩擦を減らす会社として。NSK

 

これもまたいい。残念ながら企業の広告アーカイブサイトは閉じてしまったけどもぜひ画像検索をしてほしい。その企業が言える一番大きい価値の真ん中を、ギリギリをキリキリと考え詰めた様子が伝わってくる。

 

あれ。これ。

今流行りのいわゆるキュレーションをしようとして、「俺の目」みたいにしたかったけどとてもムリだ。お気に入りが多すぎる。寝られない。

日本ペットフードの「死ぬのが恐いから飼わないなんて、言わないで欲しい。」も好きだし、ホンダの「負けるもんか」も最高。就活してた当時、この広告作った企業の説明会で聞いた時、すすす、すげぇやってなったのを今でも覚えている。

調べたらホンダはお客様相談センターにちゃんと掲載していて、素敵な企業姿勢だと思う。

customer.honda.co.jp

 

朝が来てしまいそうなので次で最後にしようと思う。

 

明電舎 企業広告 「電気よ、動詞になれ。」

http://www.meidensha.co.jp/knowledge/know_03/media/__icsFiles/afieldfile/2017/12/21/171218_01.pdf

 

この冬から日経新聞を電子版に切り替えた。15段広告をフルサイズで見られないことだけが残念だ。まずキャッチがいい。一見意味がわからない。確実にキャッチされる。それだけで勝ち。そんでボディコピー読む。これが素晴らしく良い。BtoB企業の宿命「一般人に伝わらない」をよくここまで実感とユーモアを持って突破してる。言葉だけだけど、伝わる。

 

近々始まる内定者向けの研修で、有難いことに1,2コマ持たせてもらってる。

「ほら、コーコクってさ。文化を作ってくもんじゃん」なんて、人から聞いた話を恥ずかしげもなくさらっと言えちゃうあたり、まじかよこいつ本当サーフェスだなって恥ずかしくなったりもするけど、

ぎゅっとつまった密度と次々に来る食い応えで、

楽しい仕事を、楽しく伝えられたらいいなと思う。引き出し〜

292

身の回りに多いせいか、先生という職業を無条件に尊敬している。教育という仕事を無条件に面白がっている。

先生との出会いで人生変わりました。とか、先生からもらったあの言葉一生忘れません。とかが、本当にあるってことを知っている。

 

何というか、小さいころから「あぁこれは僕ら児童の積極的な発話を促すための質問だなぁ」なんてのを子どものくせに感じ取って、そのためにベストパフォーマンスを尽くしてきた自負がある。よくもわるくも。

「ちゃんとやる」って、1つの美学。「真面目にふざける」って、1つの責務。
「あんたがおると授業がやりやすかったもんねー」って卒業してから恩師に言われることがあってシメシメ、メシウマ。

 

前置きはこれくらいにして、好きな先生がいる。

その先生は見た目は小さくて華奢で可愛らしい。それだけでもう僕ら男子は毎日学校にくるのが楽しくなる。とは言え、侮るなかれ。意外とはっきりモノを言う。教育方針が違うと、同僚の先生にも顔を真っ赤にして反論する。真面目で一所懸命でけっこう我が強くてワガママでたしかB型だった気がする。

 

いたなーそういう子。中3の同じクラスに。見た目の可愛らしさからやたらモテて、付き合いましょうだなんて男子みんなが告白しては次々にフラれていって僕もその1人。卒業式の次の週に気まずさを乗り越えてほぼ初めてちゃんと話せて理由聞いたら「高校まで彼氏は作らないって決めてるから」ってそれだけ。それだけかい。笑
文化祭委員ではなかなか出し物が決まらなくって、女子たちがバチバチやってるっていうあるある。班長の僕はもう早々と戦力外通告されて外からまぁまぁなんて見てたんだけど、その中でも一番顔を真っ赤にして反論してたなぁ。そういうとこがなんか好きだったんだよなぁ。

 

そうそう、その先生の好きなとこは裏表が全くないとこ。怒るときはすげぇ怖かったけど、初めての理科社会で躓いてほしくないからって、本気で準備してくれて時間割いてくれたりして。僕らに気を遣わせたくないからって意地張って、その努力を見せないようにしながらも、たまにある自虐モードの時なんかは「先生の話なんか誰も聞いてないよね~」とか、「今日先生疲れてるからピアノ間違うちゃうかもな~」とか言っちゃって。んで子どもたちが励まして先生肩揉もうかーとか言ったら、「あ、じゃあこっちの手もお願い~」っていや、甘え上手かい。笑
ドッジボールすごい本気でやってくるし、うっかり「調子乗んな」的なこと言っちゃってあとで保護者だか先生同士だか注意を受けてたり、あとたまに泣いちゃうとことかも。純真で人として魅力たっぷりで、勝手に神格化して眺めてた。それだけで学校が楽しくなった。

 

中3のそのモテ少女中村さんとは僕らグループ全体、全然ハマってなかった。自分で言うのもなんだけど中学は一軍に属していたんじゃないかなって思ってる。一軍の中にもイケメン担当のオサジ、スポーツ担当のけいすけ、ヤンキー担当のマサキ、チビ可愛がられポジションのノボリ、真人間の僕、デブ川畑っていうけっこう面白イケてる感じだったと思うんだけど、どうにも中村さんにハマってないの。あとで聞いたらなんか怖かったんだって。いや、思春期。笑

中3ぐらいの自分は特に暇だったのか毎日丁寧に日記を書いていて、おかげで断片的、けど鮮明に覚えている。タイマーを川畑の机の引き出しにセットして授業中にジリリリって鳴らしたり、給食の梅干しを天井に投げて貼り付け、粘着力がなくなったタイミングで川畑の机の上に落っこちてくるような遊びが流行ったり。

入試が終わって卒業を待つ数日、担任の短パン先生は総合の時間、僕らに将来の夢を発表させる。そういうのこそちゃんとやるっていう美学。真面目にふざけるっていう責務。僕がなんて言ってウケたかスベったかは覚えてないんだけど、中3にして94kgあった川畑に「将来の夢は力士です」って言わせてウケたのは覚えてる。「なん、お前本気で言っとっとや?」って短パン先生も乗っかったりして。で、1番しっかり覚えているのはやっぱり中村さん。緊張で顔真っ赤にしながら「将来は先生になります!」って言ってたな。

 

卒業してひょんなことから先生に会いに行ったのは2016年の秋。たまたま福岡に遊びに行く予定があって意を決して連絡してみる。夜なら時間取れるかもって夜のしじま北九州のほう、初めての駅を乗り継いで会いに行く。駅に迎えにきてもらう。

いや、年取らないんですか?ってくらいに変わってなくって、大好きだったあのままだ。地元ホークスのファンだという割に、選手名が5人も言えない先生のおかげですぐに緊張はほぐれた。地元の居酒屋みたいなところに行く。車の先生はウーロン茶を頼む。「今僕こんな仕事してまして。こうでこうでこうやって広告って成り立ってるんです。」「へー、でコピーライターってなんする人?」「あれ?聞いてました?」みたいなくだりがいとしい、いと楽しい。

幸い(ってのも変な話だけど)、まだ独身だったので先生は結婚とか考えてますか?って聞いたら「手相によるとね」って、いや手相かい。笑  「違うんだよー、こないだ手相見てもらったのよ、親戚のおじさんに」って、いや親戚のおじさんかい。笑

まっすぐな人だなぁ。汚れてないなぁ。すごく目線が近く、ドッジボールもガチでやってるらしい。人としての魅力がめちゃめちゃ溢れてて、中3の俺の見る目、確かすぎるな。
今って雑誌は売れないけどでも女の子って可愛いものとか意味もなく持ちたがるじゃんビー玉とか瓶とかさって話で、「あたしもあるわーっ」って聞いてみたら、段ボール集めてるらしい。いや、それあなた教材用でしょうよってほらまた可笑しい。図工の時間も一緒になってやるらしい、はい次、先生に交代ってほらまた可愛い。

もし僕の人生を映画化することがあるのなら、この晩の僕と中村先生の食事シーンは必ず入れたい。視界の全部がきらきらしてて、台詞の全部にきゅんきゅんしたから。

 

勝手に片想いして一ミリも叶わなくて、告ったばかりに気まずくなって卒業するまで下半期一度も話すことのなかった中3のアイドル中村さんが卒アルにたった一言だけ書いてくれた言葉がある。

「言語能力の高さに驚かされました。」

恐らく僕の好意に気づいていたであろうあの子からもらった言葉は、私も、とかごめんなさい、とかを一切場外にふっ飛ばしてて、そりゃあ戸惑った。戸惑ったけど、見てくれてたんだなってなんだか嬉しかった。

 

人生、ささいな振った振られたで終わらないから面白い。話は続く。

高校1年の夏。他校に進学した中村さんから突然のメール。「今あたしのハンド部でTシャツ作るんだけど、何か良い文章ない?ほら、そういうの得意だったじゃん!」 

戸惑ったけど、見てくれてたんだなってやっぱり嬉しかった。思えば、人生初めてのご発注である。考えた。ノート広げて、世界の名言集を読み漁っていた頃を思い出す。

いくつか考えた中で僕が一番自信があったのは 

「ごめん…、やっぱハンドが好き!」

だった。何のひねりもおかしさもない。でも一番先に浮かんだお気に入り。高校生、思春期。色恋沙汰も多いだろうこれからの3年間で、この人には、ずっとこの台詞を言い続けて欲しかっただけなのかもしれない。 

提案はすごく感動してもらえた。たしか採用されて実際にTシャツができたんじゃなかったっけ、実物見てないから何も言えないんだけど。

恥ずかしいけど本当の話。あの時の「言語能力の高さに驚かされました。」だけで、それだけで生きていけてる僕がいる。思えば、言葉とかコピーとかが身近な仕事に就いたのも何かの縁と何かの不思議で、こりゃがんばらなくっちゃと思ってる。

別にオチにするつもりは全くないけど、わりとこのあとすぐ、中村さんには彼氏ができました。

同じハンド部の。いや、へい!笑

 

好きな先生がいる。

というか憧れのあの子が先生になった。

憧れのあの子からもらった言葉だけで生きてる僕がいる。

きっとあの頃の僕らみたいに野郎どもは学校に行くのが楽しくなっている。

きっとどこかで同じようにときめいている僕がいる。

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まずは1曲、聞きながら漢字テスト。日々のボウ殺をボウ却してボウ然とするボウズ。

 

都市に住む寂しさ。年を重ねる寂しさ。

都会を明るく寂しがってさ、人が多いから気をつけるのよ。

1人は好きだけど独りは嫌い、みたいなこと言ってそれっぽい気にならないで。

田舎を明るく寂しがってさ、人が少ないから気をつけるのよ。

1人だけだよ僕は君の特別さ、みたいなこと言ってこの世で1人なんて顔しないで。

今夜 どうか どうか

今夜 どうか どうか

 

意味のある言葉を並べて伝えたいってヤッキになって、実は意味のない言葉の方が伝わったりする。昔のJ-PHONEにこんなCMコピーがある。

 

「届かない言葉 こぼれない涙 笑わないTV 本当の君  意味のないそれらを 僕は死ぬほど 愛している。」

J-PHONE

 

すさまじくないですか。すさまじくないですか。なんだろこの誰かと繋がりたくなる感じ。みんな仲良し!もっと話そうね!若者よケータイで!じゃない。じゃないのに、人を話したくさせる。人を離したくなくさせる。

 

出だしのMV、口ロロ『00:00:00』

文字読む時のバッググランドミュージック。なんだろこの誰かと繋がりたくなる感じ。

都市の東京の賑やかさと未来と孤独。こんなカシだ。

 

男 男 車 猫 女 ジョギング男 追い越すバイク

カップルさげてるコンビニ袋 ビール キムチ 替えの下着

たいてい起きてる僕 たいてい寝ている君

僕は君のことを想う 君は僕の夢を見る 

今夜 どうか どうか。

 

トータス松本『涙を届けて』は、大学1年に知ってから年々刺さり具合が深くなる。

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こんなカシだ。

 

ぼくは誰?どこから来た?何がしたくて何処へ行きたい?

疲れすぎて眠れないまま ただ明日の事考えてる

いつもほったらかしの机の上 食べかけのパン 昨日の新聞

走り書きのメモ 調子っぱずれのしょうもない自分 外は雨

 

積み上げた雑誌と将来の夢 「泣けるよ」と言われて借りたDVD

買ったっきり一回しか履いてない靴 ポタポタと落ちる蛇口の水

やけくそのカラオケ 笑えないテレビ そんな日々をただ僕は泳ぐ

だけど希望もそれ以上の意地もここにちゃんとある この胸に

 

昔、ジャニオタの女の子に「彼らの曲、中身何もなくない?」って言ったら「そこがいいんじゃん!」って言われて笑ったことがある。今やっと気づいたんだけど、中身がなくても伝わることもあるもんね。情景描写がいつの間にか心情描写になっていたり。斉藤和義の『幸福な朝食退屈な夕食』もものすごく伝わる。これ聴いてるとどこまでもザンギョーできてまずい。

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「こおゆう」とか「まぢ」とか使う子の使ってない脳みそ。出会い系アプリの広告で無駄に胸元を露出させられてるモデル。急に将来が不安になる銀行員。平均寿命100歳時代の40にして迷わず。あなたといたい、と ひとりで平気、をいったりきたり。壁ドンされる側の恐怖心。有安杏果さんは初めて胸張って好きですと言えるアイドルだったと思う。賞賛、絶賛、話題に、反響、神対応、という普通。ネット記事の1記事いくら。大人の中二病。元カノの誕生日。充電のないポケットwi-fi。カット野菜の栄養素。断りきれなかった割り箸。かさかさの指先。手洗った後ちゃんと水分切らないからだよと君。ぶれっぶれの写真。住宅街のお風呂の匂い。ぎりぎりセーフな僕。

 

「毎日さみしい奴じゃないと、曲なんて書けないよ。コミュニケーションしてたらだめなんだ。コミュニケーションしたい(心の叫び)!と思わないと!」と田島貴男が言っている。

一人よりみんなといる方が寂しいときもあるけれど一人にすれないにげない。

コミュニケーションしたい!ってのが好きです。一人でいいもん、じゃなくてちゃんと伝えようとすること。