心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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社会人6年目の春、本格的に採用の仕事をしている。採用って面白い(と書いて難しいと読んで、難しいと書いて奥深いと読む)。

いつも立ちはだかる自分の弱点、まだ見たことない面白い企画を作り出す人間にはなれないけど、聞いたことない面白い話を伝えるのはだいすき人間であるので、「聞いて聞いてよ、うちってさ」と話し出すのがシンプルに楽しい。思えば学生時代、3社内定を持っている中で「自分が一番、何やっていくか分からない会社にしよう」と思った勘がうまい方向に行ったみたい。その辺の選択は今まで間違った試しがない。というのも何を選んだとしてもべストチョイスだったなーと捉えるおめでたい性格がキテるわけキいてるわけ。

まだ上手くまとめられてない就活解禁直後の3月のエントリーシートみたいな思いだけど、ほやほやを書きたいから書く掻き立てほやほや。

 

それは3月のこと。若手で代わりばんこに入ってた合同説明会にて説明している僕を見て、入社以来ずーっとケツ拭いてもらってた恩人上司が「あんな生き生きしている彼、今まで5年見たことないです」と上申してくれたことがきっかけだ。まる5年働いてさらなるステップを作っていただいた。社会人はじめのころ「3年、5年、10年の壁ってあるよ。」と教えてくれたコピーライターの大御所の方がいるんだけど、自分なりにそれを解釈すると、3年は1人前になる壁、5年は人を巻き込む壁、10年は社会を巻き込む壁なのではと捉えている。丸5年経った今だからこそ話せる話があるそりゃ上手くいかなかった話も含めて。

説明会を見た後輩からは「あんな『で、だ!』って塾講みたいな説明会やる人、どのブースにもいませんよ」と笑ってて僕も恥ずかしくて笑ったやめてよ。きっと先天的な能力は、うんとこしょ、どっこいしょでは光らない。はいせーので適材適所、任せていただくことになった。

 

これ何がよかったかって、一つは自分の人生を考えられることだと思っている。「頼んでもないのに昔の話をしだしたら、人生の下り坂」という言葉もあるけど、頼まれて仕事の時間に自分の学生時代から社会人生活を振り返られる機会は非常に貴重で超有用。「10連休明けに憂鬱になったら、その仕事が合っていない証拠です。」という意見は多少過剰な気もしたけど、なんで働いてるんだっけ?ってのは、時期時期年次で答えが変わるいいテーマ。令和元年10連休は正直長すぎた気がして社会復帰できないかもってユーウツを打破するには働くしかないなと思ってたところ。働きたい!って強がりもあるけど、いい仕事がストレスを溶かすことを実体験で知っている。その時の感情が「どんなもんじゃい!」ではなく「ただただよかったー」であることも含めて。そして最近じゃ、ただ仕事をするではなく、仕事で活躍しなくちゃなって思ってる。千と千尋の1シーンで言うところの「ここで働かせてください!」ではなく「ここで活躍させてください!」というわけ。

 

愛社精神みたいなものの正体は分かってるようで分かってないけど、人が積めない経験値を積める面白い会社だと思っている。これからは会社に使われるのではなく、会社を使うようにならなければ、といった話がタイムラインに頻繁に流れてくる。そんな中で2020の採用コンセプトが「電通を、つかえ。」である電通さんはさすがかっちょいい。気になって調べてみたら「心を動かすことから、すべてが始まる。」と博報堂さん。「すごい会社に入るより、すごい会社を創る。」ってサイバーエージェントさんのコピーもぴったりの相応しさ。

組織と個人は揺り戻す。その人が過去に出品していたもののリストから資産価値を算出し、相互のやり取りやトラブルの件数から信用スコアを制定し、融資を行ったり後払いを認めたりというメルカリの金融事業メルペイに代表されるような「個人」の時代において、会社勤めをする理由はやっぱり1人じゃできないことをやりたいからで、そこには企業が向かってくビジョン、理念が重要だ。

思い出すのは学生の頃、夕方のニュースをたまたま見ていた時の話。その日はサケの輸入販売を行う商社マンの特集だったんだけど、その商社マンが最後に「サケで世界中の人を笑顔にしたい。大げさかもしれないけど。」と言っていて、当時学生の自分からしたらなんて部分的でちっぽけな野望なんだって戸惑ったんだけど、世の中、何で困っている人を助けるかって場所取りがあることを今は思う。その時の戸惑い、からの腹落ちを社会人になってこんな風に書いている。自分の中の文体の流行の癖があまりに強くて、いくら出ちゃいそうなんだけど。

showkakeru.hatenablog.com

みんな大好き鳥貴族の企業理念って知ってます?「焼鳥で世の中を明るくする」なんですよ。店舗の店長さんもアルバイトさんも、本社の経理の方も、もちろん関ジャニ∞大倉クンのお父様も本気でそれを信じている(そうであってほしい)。なんて部分的でちっぽけな野望と今は思うまい。法人営業のやりがいの一つ、知らなかった企業を知れること。二つ、その会社の発展に貢献できること、三つ、その会社の理念の実現につながること。仕事柄、コーポレートブランドフェチというと変だけど、その会社だけが持つカルチャー、理念、哲学が好きで、会社で働いてその組織の考え方に染まるって洗脳じゃんなんて不必要にビビってた学生時代の僕よ、とても魅力的なことだと思うのよ。むしろ40年働く中で何の価値観にも染まらず自分の旗だけ立ててやっていくことの方が怪しくて、脆い気もする。

今のSONYの前身、東京通信工業の設立趣意書の文言が大好きなので書かせてください。「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」とある、この“自由闊達にして愉快なる理想工場”の字面から溢れる風通しの良さ、モノづくりの喜びたるや。企業理念に愉快って入っている会社、超よくないですか。そして実際、ここから世界を驚かせたウォークマンやペット型ロボットの先駆けaiboが生まれている。NIKEのJust do itが奮い立たせる心も、AppleのThink Differentが広げる創造性も、これらはビジョンというよりコピーの力が大きいけど、哲学に染まる喜びなんじゃないかと思うわけです。ちなみに弊社の企業理念は「宣伝・広告界の発展に貢献する」。広告業界でないのがミソ。広告業(広告会社、メディア、クリエイター)のためだけではなく、広告主を含めた宣伝・広告に携わるすべての人たちが成長し、発展していくことで社会にお金が回って経済が豊かになっていく。それを信じて働いている。広告はもはや嫌われ者という意見も散々見てきたけど、マーケティングとクリエイティブに悩める広告主(企業に個人に公官庁)は多くって、地域含めて必要な情報を届けていくことに使命を感じる命を燃やす。

ちなみに少し変わってるこの企業名は65年前、民間のテレビ放送が始まったころ、一体全体テレビCMってのはどういう風に広告に使っていけばいいんだい?っていうのを、現在のアステラス製薬、当時の山之内製薬の宣伝部長さんが、知り合いの宣伝部長を集めて議論を交わしたその議事録が創刊第一号だからである。変わった社名も何も、まんま議事録ってなわけだ。自社の成り立ちだけでへーって興味を持っていただける会社にいるのは楽しい。そう、聞いたことない面白い話を伝えるのがだいすき人間なのである。

いい会社ってなんだろうとか、モチベーション高く働ける組織ってなんだろうとか、五月病ってなんだろうとか巷じゃ一生かけても読み切れない本が出ているから、まずは自分で経験と感情を言語化していかなければならない。「この会社で働くやりがいってなんですか?」「入社してからのギャップを教えてください」「ご自身の就活時の挫折を教えてください」それ聞いてどうするの?っていう学生さんからの質問にも、うそ偽りなく分かりやすく、それでいて欲を言えば聞いた人がいいな~って思ってもらえるよう伝えていきたい。

最高経営責任者をChief Exective Officer(CEO)、最高財務責任者Chief Financial Officer(CFO)と、CまるまるOという役職が企業にはいくつか存在するが、昨今CHOなるものが出てきているそうだ。ずばりChief Happiness Officer、従業員の幸福をマネジメントする専門の役職らしく人が資産のこの産業にもきっと必ず必要なはず。元々お笑いとかユーモアが大好きで、ことあるごとに救われてきた自分だからこそできることが、そこに何か鉱脈があるのではと虎視眈々しこしこ狙ってる。ちょっと前に書いた北九州は炭鉱のスカブラもそう。かのオードリーヘップバーンも「I love people who make me laugh.」って言っている。少し採用からは脱線したけれど、一緒に働きたいと思われる担当者になりたいから元気のいい挨拶ってコスパがいいし、心穏やかに、頬にこやかに、努めて勤めて採用担当を務めようと思う。