心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

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2010年。

熊本からの上京は、埼玉は小手指から徒歩15分の1K家賃43000円築30年といった状況。今じゃ考えられないけど台風でベランダの壁が見事3枚抜き、3部屋隣まで繋がったことが懐かしい華の大学生なんてとんでもない。親のすねかじり虫~であったのでバイトを始めたのは遅かった。

今でこそ時は経ち、駅直結のどでかいマンションが立ち、景色も一変した小手指駅の北口は、僕らが学生の頃は「西友のほう」で伝わったものだ。大学1年生の12月までバイトをろくにせず、冬に帰省したら案の定こっぴどく怒られて、年明け埼玉へ戻ったその日に西友で目に留まったバイト募集。西友4階の本屋で1年半働いた。あーあそこよく行ってたよと言われることがたまにある。僕らはどこで出会ってるか分からない。人前で鼻をほじるのはやめよう手を洗ってうがいをしよう。良くも悪くも何のこだわりもない僕は、週に2日、学生の貴重な土日の17-22時をバイトにささげた。時給は760円だった。我慢に慣れすぎて変える努力をしないところが嫌だと昔好きだった人に言われたことを今ふと思い出す。時給が760円ならそれで暮らすまでだ。トンチャクもシュウチャクもあった試しがない。心頭滅却すれば火もまたスズシ。

名前忘れちゃったけど「雑誌は生もの!」とメガネのパートのおばさまに言われて雑誌抜きをよくやらされた経験がなかったら、僕は今の会社に出会ってないし、出版社で勤めるきっかけなんてそんなもんである。本は雑誌と書籍に分かれている。新聞が1日経てばゴミになるように、雑誌にも寿命がある。紙が古びれるより早く、情報が古びれる。何週か回って新しくなる。

ええい上京じゃって引っ越しを機にやめてそこから日雇いのイベントスタッフをやり、ポルノグラフィティの年越しライブの年越した後の椅子を夜通し片づけたり、夏休みはプール監視員をやったりした。さすが都内。どちらも時給は1000円だった。プール監視員と言っても未就学児限定、膝丈しかない浅瀬でちびっ子とよく戯れていた。ちびっ子ってのはエピソードが尽きないもので女の子3人くらいが遊んでると、1人が突然「リトルマーメイドごっこしよ~あたしアリエル~!」と言い出してなんというエゴ!リトルマーメイドからアリエル取ったら、ほか残ってるのお節介なザリガニとかしかいないよって不安に思い見守っていると、子どもたちの方がずっとずっとやわらかで「じゃああたしアリエルのおかあさんね~」「わたしはアリエルのともだち~!」って瀬戸内海みたいな平和で穏やかな海の中。

大学を卒業する前の半年はこう見えてメロンパン専門店をやっていた。冷凍のタネを5分経ったら砂糖にぐりぐりして、40度以上で発酵。12センチで焼き始める。ここも店長の名前忘れちゃったけど作り方を体が覚えている。昔取った杵柄、前に焼いたメロンパン。例のごとく交通費をケチって初台から下落合まで歩いて帰る秋冬春先の夜は長い。増やせない時給は支出を減らすに限る。幾度となく帰り道に東京都庁を眺めて歩いた。僕が好きなのは東京スカイツリーより東京タワーなんだけど、東京タワーより東京都庁なんだ。その理由の一つは間違いなく上るのがタダだからである。

その頃の僕のインスタ、フォロワー3人とかに向けて写真をあげてて楽しかったのだろうか。その規模で果たしてちゃんとソーシャルでネットワーキングできていたのだろうかハナハダ疑問である。

 

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当時はオリンピックが決まった頃か。まさかこんなことになるとはコロナ。

学生最後の日、僕は何の衝動か、都庁に上っていた。

 

例のごとく前置きが長くなりました。社会人6年目が今そっとひっそり終わったところです。 

 

「石の上にも3年」の倍、明日からは7年目。なにか100あったものが70くらいになった気もするし、逆に101とか105とかになった気もしている。よく「変わらないために変わり続ける」みたいな上手いこと言った風な表現が聞かれるが、おそらく100の中身が、なくなっては作られて減っては増えて、しているのだと思う。そして外見は確実に老けていく。老けていくけどフケルに老いるは悲しいから漢字を変えたい感じ。夜が更けるの更けるなら更新されていく感じがあるし、耽るを使えば夢中で浸れるわけです頭の中のキャッチャーが言う「耽ってこー!」

成果を出すことは難しい。命を燃やすことは容易くない。例のごとく導入されるテレワークの在宅勤務初日、カメラに映りそうなNegiccoのポスターを2枚はがす。3マス戻る。意外と集中できるもんだけど少しでもトイレに立つとそこは家。あ、洗濯もん回しておくかとか気が散る桜の上に積もる雪。私、魔女のキキです。こっちはお花見してたカエル。

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震災も天才も社会的な出来事は個人の価値観をおおいに変える。料理動画メディア「クラシル」堀江社長のインタビューを読むと、起業のきっかけは東日本大震災だと言う。孫さんが100億寄付されていたことが影響しているらしい。2017年、ハーバード大学の卒業式でマークザッカーバーグが話して以来「パーパス」はビジネス界の流行りワードになっていて、ビジョンミッションパーパスがない会社はつぶれていくと言われる。なんせ僕ら日本人は幼少期アンパンマンから鍛えられたパーパスの申し子であるはず「何のために生まれて何をして喜ぶ」って歌ってたくらい。モチベーションとか生産性とか青臭く言うと個人の夢も、経済が一休み、年度が一跨ぎする今、考えておこう。何が君のエンジン?ココロも満タンに

不要不急の人間になるなよ。時間を割いてもいいと思われる人間になりなよ。男女の間に流れる空気も変わるかと思いきや、会えない時間が愛育てるのさってのはもう数億年前からひろみGOが歌ってる。会いたいから、会わないでおこうと今は心の濃厚接触。電話っていいですよ。Zoomで飲み会しよう。すみませんハングアウトで繋ぎなおしてもらってもいいですかってオンでもオフでもたいてい一人くらい遅刻するやつが出てくるのが可笑しい。

「アフターコロナは個人にもパーパスが必要になる」と、全社の前で編集長が話していた。自分が生きる意味みたいなものを大げさでもなく書いておこうと思う。1週間で亡くなるかもしれない病気と人類が闘っている。「名乗りを上げる」と今年のテーマを掲げて3か月が経つけど何も名乗れていないノッていない。改めて今年の手帳にでかでかと書く。「いい話を仕入れて、いい言葉で伝える」すなわち、

いい話:新しい、面白い、役に立つ。

仕入れて:人に会う、経験する、知る学ぶ考える。

いい言葉:読後感、コピーライティング、駄洒落とユーモア

伝える:話す、表現する、心に残す、笑わせる

 

2020年。