心頭滅却すれば火もまたスズシ

わるあがきはじめました。

345

いつか、この頃撮った写真を見返したとき、みんなマスクしてんなぁって笑えたりするのかな。「わしらのオリンピックは延期されたんじゃよ」って孫に語れるのかな。チチにすらなってないのにジジになってる平和な妄想。品川のコンコースも満員の大江戸線も新宿西口の地下通路も、人の波マスクの白波ちらほら桜。

卒業式がない卒業生を思う。スタート「入学」に対してゴール「卒業」がない小6の不安。え、まだ1か月くらい早いですけどもうですか?もう中学生?ためになったねぇ~ためになったよぉ~。

この年になって姪っ子が生まれて、あのちっこい天使が文字通り覚えたての日本語を繰り出す動画が送られてくる「かけ!げんきー?」って。元気だよーって成長に目を細めるようになって思うに、僕らの成長途中にある式典の、母も父も先生もめちゃくちゃ泣いてるからくりが分かった気がする。当人は座って話聞いて名前呼ばれたら返事して歌うたって退場する、なんてこたない半日のために親はドレスとハンディカムを買う、あのからくりが。それこそ名前を呼ばれて元気いっぱい我が子が返事をする瞬間、こみ上げてくるものがあるだろう。井の中のかわず、親の心子知らず。卒業式、「ほっしーのおばちゃん、ほっしーにそっくりやね!」と友人が言うと、毎回母は「違うよ、この子があたしに似てんだよ!」と指摘していたことを思い出す。

 

「遊ぼうよ!」「コロナの終息する頃な!」なんて駄洒落も言えない先の見えなさ経済を止めるな。言えるとしたら国のお偉いさんたちが集まって煮詰まっても分からないことがあるのだ。自信を持とう。分からないことがある。大人もオロオロする。言っとくけど大人まじオロオロする。専門家がいる。餅は餅屋。ワイは猿や。公園で遊べない。児童館も閉まってる。共働きの親が用意した弁当を食べる。スッキリは楽しく見られる。ヒルナンデスはどうも気が乗らない。外出禁止、ブックオフに行くと通報される仕組み。こっそり集まる。兄貴のいる友人がエロ本を持ってくる。誰かん家のPCを立ち上げてエッチなサイトを見る。みんな猿や。いきなり画面が真っ青になって落ちる。みんなで逃げる。「あんた今日何やってたの?」って母から聞かれる。晩飯が気まずくなる。小4までの思い出は薄れているんだけど、小5,6くらいのあの頃の1日の長さを僕はやたらと覚えている。土日、特に部活がないときは元気だし時間もあるのにすることがなくて凄まじくつまらなかった。誘うことが苦手だったのか平日の友達が休日は遠く感じて、一人の時に必要以上に一人であることを自覚しちゃって、行き詰まりを感じていた。

みんなにもこの1か月前からの日々をぜひ覚えていてほしいんだ。テレワークが一気に進んだ。生産性について嫌でも考えるようになった。インバウンド消費やアジアからのサプライチェーン全体を見つめなおした。書店に人は来ないがamazonで本が売れた。マスクが売れた。消毒液が売れた。トイレットペーパーもそうだけど、キッチンペーパーもなくなった。指溶けるんじゃないかってくらい消毒した。不安になった。時間を持て余した。不要不急なものばかりだ。不要不急を避けてなんて言われて、取り除いたら何も大切じゃなかった。

5月末まで500人以上のイベントの自粛要請が出たフィンランド。在日フィンランド大使館がニーニスト大統領のコメントを紹介している。

「物理的な距離を取るようにと言われたら、精神的な距離を縮めましょう。今、必要なのは自分は一人ぼっちではなく、皆と共にあるという考えです。お互いに支えあいましょう。」一人ぼっちである、その始まりを感じて軽く絶望していた熊本の小6の自分に向けて書く。

 

コロナ全盛の頃な、ある人がこんなことを言っていた。“「家にいる子どものために」と大人はいくつものサービスを無料にしたけど、子どものために、と用意されるコンテンツの多くは子どもだまし。思い返してほしい。子どもの頃、僕らはもっとどぎついの期待してたじゃないですか。”と。めちゃくちゃ分かる。友達んちでかくれんぼしてたら見つけたそいつのオヤジの隠しAVその名も「月刊女子高生」が当時の僕らの流行語だったくらいだ。

学級王ヤマザキはコロッケになり、ゴーゴー!ゴジラッ!!マツイくんがモリモリッ!ばんちょー!!キヨハラくんになり、というかそもそも、かっとばせ!キヨハラくんが最初なわけで実は清原が松井を挟むだいぶ脂っこいサンドイッチ、なぜ漫画の桑田とピッピはあんなに最低なキャラなのか。ドラベース、うちゅう人田中太郎、ベイブレードカービィ、マリオなどなど僕は小学校6年間毎月コロコロコミックを買っていた。もちろん、でんぢゃらすじーさんで笑わなかったことはない。紙をめくると「ちゅどーん」ってページ一面に爆発が起き、孫が死んでいるのにめちゃくちゃ面白い。普通に考えて孫が死ぬより悲しいことなんてないのに、今思えばあれがフリとオチか、ページをめくると自然とこみ上げる期待。やってないのに付録がついてくるもんで、つえぇんかよえぇんか分かんないけどデュエルマスターズのレアカードが実家にやたらとある。オープンザメルカリいちじゅうひゃくせんまん。

で、毎月コロコロを買ってた近所のちっさなちっさな書店があった。古臭い独特のにおい。おじいさんとその娘さん(と言っても十分おばさん)が二人で変わりばんこに店番やっている個人経営、町の本屋。予想通り今はもうないんだけど、そこで毎月買っていくもんだから名前こそ分からなくても顔を覚えてもらったりしてた。

最初のうちは店主に背を向ける格好でジャンプの立ち読みをしてたんだけど好奇心、ばれないように週刊FLASHに手を伸ばす。水着グラビアを眺めてどきどきする。背中に店主の視線を感じてどきどきする。時間にして5秒から10秒、胸が苦しくなってそっと戻す。そんなことを繰り返していた小5から小6。我ながら卑怯なやつで、店番がおばさんの時には立ち読みするのをやめた。おじいさんの時だけにした。同じ男ならこの気持ちわかってくれるだろうと、どこか信じていた。そんなある日、いつものように仲根かすみのグラビアを眺めていると背中越しに聞こえるおじいさんの咳「コホン」「その本はまだ早いよ」。冷や汗。思考停止。そっと戻す。レジのほうは見ずにそおっと店を出る。出た瞬間ダッシュだ!万引きしたかのごとくダッシュ!家を通り過ぎる勢いでバクバクの心臓を連れて帰る。終わった。町内で噂されて親からは怒られて二度とコロコロが買えなくなる、なんて心配するもんかもう二度と磯山さやかのグラビアが見られないのだ。悲しくなった。

言っておくが男子の思春期の始まりなんてそんなもんで、野球部仲間のせっちゃんは当時好きな芸能人を聞かれて、みんなが松井やイチローと答える中、一人「小池栄子」と答えていた。「は?小池栄子?エロ!じゃ小池栄子に会ったらなんしたいんや?」と意地悪な友人が深堀すると「一緒にお風呂に入りたい」って直接的じゃない絶妙なすけべライン。分かる、分かるよせっちゃん奇遇だね、僕も小池栄子と一緒にお風呂に入りたいもの29になる歳だけど先見の明か、偏見の性か。話逸れるけど小中にかけてカワバタというゴリラみたいな友達とよくつるんでいて、やることない田舎の中学生、一緒にエロ本を立ち読みするチャリ旅までしていた。通学するだけで94キロの巨体でヘロヘロになるカワバタが、チャリを漕いで線路の向こうのバッティングセンターの向こうの川の向こうの大きな本屋に喜んで行く。ゴリラのくせに尻尾振って行く。途中赤い鉄道橋があって秋にはそこがとても綺麗に川に映ることから僕らはその大きな本屋でエロ本を立ち読みすることを「景色見に行こう」と言っていた。「いいね、俺もちょうど景色見に行きたかったんだよ」なんて風情なもんか、風俗野郎。

他にもこれはちょっとお色気番組だなって深夜番組を録画しようとするときなどは命がけ。ビデオデッキの数字が突然動き出すと確実にばれるからビデオテープを立てかけて数字を隠したり。録画が始まる瞬間のカチャッって音だけをなんとか親に聞かせないようにするために、その時間まで起きてねぇねぇ明日何時に起こしてねってやたら話をつないだり。エロがインターネットを進化させたと言うが、エロが男子を進化させてる気もする。

 

で、そのお色気番組に出ていたのがさまぁ~ずだったわけ。内村プロデュースの特別版、奇しくも小池栄子とお風呂に入るために箱根小涌園のお風呂で裸でだるまさんが転んだをやっていたわけ。

 

中学生になったら自分でカードを作れるって聞いて親に黙ってカードを作りに行った熊本のレンタルDVD屋さんスクリーン&ブー。名前の由来まるで不明。店の前の看板はScreen&Booとなっていて、てっきり映画と本のレンタルのお店かな?ああ、Bookのkが取れちゃってるんだなって思ってたんだけど入り口は豚のキャラクターが出迎えてくれてBooが正解だった。いや、Booが正解なことある!?

会員登録したし、これで特命係長只野仁も、ライオン先生も、ああ探偵事務所も(すべてすこしすけべなドラマ)借りられるぞ!って大人になった気がして帰ってきたら、そりゃそうなんだけど、本人確認のために家に電話がかかってきている。母が出る。「あんたなんでカード作ろうとしたの?言ったら母さんの貸すのに」って違うんだよなぁもう!「さまぁ〜ずのライブDVDがあってそれを借りたくて。。」って言い訳に使わせてもらったことがある。で、仕方なくというか借りてきたさまぁ~ずのライブDVDが爆裂に面白かった。時はエンタの神様全盛か。笑う犬からウッチャンファンで内Pを見てさまぁ~ずにはまり、中1で引っ越してきたハマちゃんに勧められて見るようになっためちゃイケ笑わず嫌いを見てさまぁ~ずがさらに好きになり、あの頃憧れまくったエロとお笑いの先にいつもさまぁ~ずがいてくれた。正月なのにさまぁ〜ず!やれよ!

 

 

小6の僕へ。

信じらんないと思うけど16年後、東京で本物のさまぁ〜ずライブを見る日が来る。あの頃、何の楽しみもない日々にすけべ心で見始めたお笑いを生で見る夢みたいな日が本当に来る。1時間半のライブ中、往年のくだりや色あせないフレーズに腹抱えて笑う。くだらねぇ。おもしれぇ。かっちょいい。めちゃくちゃ笑いながら、めちゃくちゃ涙が出てくる。

そんなんだからか終演後、記念に受付のポスターで撮った写真は嬉しくて泣けてきて遺影みたいな顔してるぜ。

f:id:showkakeru:20200325004528j:image


今、自宅待機してる小中学生も、比較的学校が好きだった僕からすると家なんてくそほど暇で退屈で軽く発狂するだろう。絶望もする。あー、おれの人生ーみたいなことを考え始める第一歩である。記念すべきだ。気持ちはめちゃくちゃ分かる。無駄なことなんて何もないから、この時期にたくさん考えてみるといいよ。インターネットもスマホも何かを検索するのには向いているけれど、創作するのには向いていなくて、この時期に考えたことが自分の思考回路の元になる。バッテリーになる。エンジンになる。そしてあとで思うわけ。ためになったねぇ~ためになったよぉ~、と。いつかきっと思い出すコロナの頃な、ありがとう100日後に死ぬワニ。

 

衣替えしようと掃除してたら出てきた僕が中二の頃書いたらしき自分年表は、なんとも野心的で乱暴でただただ僕の厨二病はこれまたえぐいなとしか思わないけど、爆笑問題ウッチャンに憧れてたことが一目で分かる。人って変わらないなと少し笑う。

f:id:showkakeru:20200325004551j:imagef:id:showkakeru:20200325004606j:image